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【番外編】 小栗雅治の独白 22
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出張から戻ってすぐ、ヤマを飲みに誘った。
平日に飲みに誘われた事に愚痴を言いながらも、仕事を早めに切り上げて、俺の誘いに乗ってくれた。
仕事後に、馴染みの焼き鳥屋で待ち合わせをした。
時間は22時を過ぎていたけど、平日にも関わらず店内はそこそこ賑わっていた。
「ヤマ、悪いな」
「おーよ。ビール奢れよ?…それにしても、オグから平日誘われるなんてな…。なんかあったか?」
ヤマがビールと串のオススメセットを注文する。
「いや…なんか、…何だろうな?…飲みたい気分ってゆーか。でも、一人で飲むと色々凹みそうで…」
「いやいや。そのために俺、仕事抜けたワケ?…てか、らしくないなぁ?………プッ!!まさか、恋煩い?」
ヤマがニヤリとこちらを見た。
恋煩い…
とりあえず、笑われた事に対して睨みを返す。
「ブッ!え?ちょっと!え?冗談のつもりだったんだけど…マジで⁈恋なのっ?煩っちゃってんの?」
ヤマが腹を抱えて笑いだす。
「笑い事じゃねーよ…」
「いや、…っ、、マジでっ…ごめ…。ヒー…フー…。うん。…よし。で、どうしたの?例の…かわい子ちゃんのこと?」
ヤマが笑えるのを堪えて、こっちを見た。
「……まぁ、そんなとこ」
「え?…あれから、うまくいってたんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったんだけどね…」
ビールが届いて、無言でジョッキを合わせて二人で煽る。
ヤマには、4月にこっちに来た後に、佐藤君との事はチラッと伝えた。
その時もヤマには「オグがそんなに1人のこと追っかけるなんて!」と爆笑されたが、同時に満面の笑みで祝福してくれた。
「そういう相手にやっと巡り合ったんだな」と。
最初に届いた串を頬張りながら、ヤマが喋る。
「何〜?ケンカでもしたか〜?」
「そんなかわいいもんじゃねーよ。……なんつーか、佐藤君に他に気になる女が出来たみたいで…」
「え?は?どういうこと?お前ら、付き合い始めたばっかじゃん?まだラブラブの時期だろ?……オグ、遊ばれてたワケ?」
「……分かんね」
俺的には、これから仲を深めて…普通の恋人みたいになるんだと思ってた。
確かに、佐藤君が他に好きな女が出来たら身を引くつもりだったけど…
今回は、秋吉さんの時より確実だ。河野の言葉を信じるなら。
まさか、相手が俺の近くにいる女なんてな…
ヤマが2本目の串を手に取った。
「あのさー……気を悪くしたら悪いんだけど、オグ達本当に付き合ってんの?」
「どういう意味?」
「そのまんま。ちゃんと告って、ハイ、付き合いましょう!ってなったワケ?」
「…いや。そういうのはなかったが。…それが?」
「いやいやいや……オグ、それ重要!さとー君だっけ?彼はオグと付き合ってる意識あんのか?ってこと。じゃなかったら、心変わりしても文句言えねーよ?」
「……でも、男女の関係っつーか、それなりの事はやってるし…」
「おーー…カミングアウト。ご馳走様」
ヤマがジョッキを口に運びながら、遠くを見た。
「……つか、ごめん。今、初めて引いたわ。…オグが男を、掘るとこ想像しちまった。
………オグ、掘る方でいいんだよな?」
ヤマが恐る恐る俺を見た。
「…ヤメロ」
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