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夏休み
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8月。
雅治さんのところも俺のところも、勤めている会社では、夏休みは7月〜9月の中で好きな期間に取得していいというルールになっている。
雅治さんは、今年の夏、お婆ちゃんの三回忌の法要をお盆と一緒にするらしく、そこに出席するためにお盆期間の一週間に夏休みを取得するとのことだった。
それを聞いて、俺も同じタイミングで休みを申請した。
もともと、付き合う前から、お盆辺りに取ろうと思っていたから、業務的には何も問題なく取得できた。
雅治さんは夏休み前半は法要でいないらしいけど、後半は一緒に過ごそうと言ってくれた。
ゴールデンウイークもこんな感じで後半デートしたな、と思い出すと、自然と頬が緩む。
夏休みは二人で旅行とかも考えたけど、この週はどこに行っても人が多いだろうからって理由で、特に何をするとかは決めてない。
まぁ、二人でゴロゴロするだけでも十分に嬉しいけどね。
ふふふ。
夏休みに入ってすぐ、大学の友達の飲み会に参加した。
男6人、女2人で集まった。
その中には、オカもいる。
会ってすぐに、皆から「雰囲気が変わった」と言われた。
「さとちゃん、なんかますます可愛くなったんじゃね?」
「あー、それ俺も思った!」
「髪型も服装も変わったよね?なんかあった?」
お酒が入ると、皆言いたい放題…
因みに今回、飲みに行く前に雅治さんに連絡したら「飲み過ぎないように。あと、終わったら連絡して」と言われたので、気持ちお酒は抑え気味。
俺って健気。はは。
「いや、ちょっとオシャレに目覚めたって言うか…」
オシャレに目覚めたのは、嘘じゃない。
方向性とか、動機は言えないけどね。
雅治さん以外に可愛いと言われるのは不本意だけど、まぁ悪い評価じゃないってことで良しとしよう。
「そういや、さとちん、彼女とは?上手くいった?」
オカが、シレッと聞いてきた。
「えっ?さとちゃんに彼女⁈」
「マジで?いつ?どんな子?」
皆が一斉に食いつく。
「いや、出来てない。出来てない!」
オカ!何振ってんだよ!
チラッとオカを睨んだ。
「それにしては、去年会った時よりはなんか余裕がある感じするよねぇ?」
1年ぶりに会った女子の一人、リーさん(名前がリエだから)にそう言われた。
「あ、私も思った!あやし〜」
うっ…
最近、女の観察力はすごいと実感したけど、ここでも⁈
「もしかして、亜由美と寄りを戻してたりして〜?」
は⁈
「え?なんで?」
驚いた。
亜由美(あゆみ)って言うのは、大学の時に付き合っていた彼女。
社会人になってから1年経たないうちに、自然消滅した。
今まで皆、気を使ってか何も聞かないでいてくれたのに。
まさか、その名前が今になって出てくるとは…
「…いや、ごめん!なんでもない。てか、なんとなく?」
リーさんが、慌てて手を振った。
「あ、でも、俺も気になってた。嫌いになって別れたワケじゃないだろ?」
うぅ。
古傷を掘り返さないでほしい。
「それは、まぁそうだけど…でも、亜由美とは、もう無いよ」
亜由美と別れたのは、お互い仕事が忙しくなって、連絡が取れなくなって…からの自然消滅なので、喧嘩別れとかではない。
だけどあの時、気持ちも消滅したので、もう戻る気はない。
それ以前に、俺には雅治さんがいるから、他に目移りする事はない。
「あはは!変なこと言って、本当ゴメン!気にしないで!」
リーさんは暗くなった場の空気を取り繕うように笑ってたけど、なんかモヤモヤしたものが心に引っかかった。
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