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言えないこと …2
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「あのさ、オカ、もしかして俺が不倫してるとか思ってる?」
恐る恐る聞いてみる。
「…何?やっぱり不倫なの?」
オカが呟いた。
はぁー…
そうか、そうなるのか。
だから、合コン勧めたりしたのか。
「オカ、俺、不倫とかしてないからね?」
「え?じゃあ何で今、不倫とか言い出したんだよ?」
オカが俺の顔をまじまじと見た。
「実は、前にマスターに相談した時に、不倫してると思ってたって言われて…。オカもそうかと思って」
「あー…なるほど。まぁ、不倫じゃないなら、いいんだけどさ。じゃあさ、なんであんなに複雑そうに悩んでたワケ?好きになれないとか付き合えないとか…あれじゃあ、色々勘ぐるだろ?俺、マジで心配したんだけど」
あぁ、そうか。
俺はオカに心配かけてたんだ…
そりゃ不倫だと思えば、あんな意地悪な感じにもなるよな。
そう思うと、なんか黙っている事が悪い事のような気がしてきた。
とりあえず、付き合ってる事は伝えなきゃ。
「おまたせー。今日は梨だよ」
と、ここでマスターが、カクテルを持って来てくれた。
クリーム色のフローズンカクテルだ。
「あ!あの、マスター!」
カクテルを置いて去ろうとしたマスターに、思い切って声をかける。
「マスターにも聞いてもらいたい事があるんですけど…」
「おー。どうしたー?」
マスターが、俺たちの暗い空気を吹き飛ばすように、明るく笑った。
「あの…俺、前に相談した人と、先月から…付き合ってます」
「えっ?」
「おー!おめでとう!」
オカは驚いた反応をして、マスターは嬉しそうに笑ってくれた。
「マスターには、色々と相談に乗ってもらって…。ありがとうございました。マスターのおかげで上手くいきました」
「いやいや、大した事してないよ〜」
マスターが優しく微笑んでくれた。
「え?じゃあ、さっきなんで彼女出来てないって言った訳?」
うっ。
オカのツッコミ、ごもっともです。
「なんてゆーか、恥ずかしかったと言うか…」
あの場で色々誤魔化す自信がなかったし。
出来たのは彼氏であって、彼女ではないし…
「…そっか。…うん。そっか!おめでとう!」
オカは複雑な顔をしたけど、とりあえず笑って、俺に向かってグラスを持ち上げた。
俺もグラスを持ち上げて、それにカチンと合わせる。
「うん。オカも、あの時は色々聞いてくれてありがとう」
「いや…不倫じゃないならいいんだ…変に疑ってごめん」
オカの「不倫」と言う言葉に、マスターがプッと吹いた。
「岡本君も、不倫だと思ってた?」
「思ってました。だって、実らない恋みたいな感じだったでしょ?まあ、違ってて一安心!」
「二人とも、変な心配かけてごめんなさい」
俺が謝ると、オカが満面の笑みで俺の肩を叩いた。
もう一つ黙っている事がある俺は、オカのその笑顔に胸がチクンと痛んだ。
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