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言えないこと …3
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それから、オカに付き合うきっかけを聞かれたので「水族館でデート後に告白された」的な感じで答えた。
それまではライバルが多くてゴタゴタしてたんだって言ったら、納得してくれた。
そして、それ以上は俺の「年上の彼女」については聞かれなかった。
助かった…
もし、俺が付き合ってる相手が男だと知った時の、オカの反応を想像すると怖い。
今はまだ、本当の事を言う勇気はない。
しばらくして、カクテルを飲み干したオカがトイレに立った。
そろそろお開きかなぁと思って、雅治さんにLINEをする。
時刻は日付を回ったところ。
もう、寝ちゃってるかな?と思いながら"今、前に話したバーで友達と飲んでます。そろそろ帰ります"と、送った。
スマホをカウンターに置いた直後に、雅治さんから着信があった。
わ、起きてたんだ!
「もしもし?」
『あ、陸?電話して大丈夫だった?』
夜遅くだからか、いつもより落ち着いた感じの雅治さんの声がする。
「はい。大丈夫です。すみません。起こしました?」
『いや、起きてたよ?…ところで、帰りはどうするの?』
「え?ああ、もう電車ないし、タクシーで帰ります」
オカとは方向違うから、乗り合いできないな〜とか考える。
『…ねぇ、迎えに行こうか?』
雅治さんが、静かにそう言った。
「えっ?いえいえ、大丈夫です!こんな時間に迷惑かけられません!」
『こんな時間だからこそ、だよ。迎えに行っていい?』
雅治さんの声が、耳にくすぐったい。
「え、でも…」
『俺が、会いたいから』
う…
そう言われたら、断れない。
て言うか、そんなこと言われたら、俺も会いたくなってきちゃったし。
「いいん、ですか?」
『いいよ。…△△駅近くだったよね?店の中で待ってて?30分以内に着くと思う』
「分かりました。…あの、ありがとうございます」
『ん。…じゃ、また後で』
通話が切れたスマホの画面を、ほんわりとした気持ちで見ていたら…
「今の、彼女〜?」
と、いつの間にかすぐそばにいたオカに言われた。
「わ!ビックリした!」
「今の電話、彼女〜?ニヤけてたけど」
うっ、ニヤけてた?
「え?あっ…う、うん。まぁ」
「なーに、慌ててんだよ?何?これから会うとか?」
「あー…、迎えに来てくれるって」
「えっ?マジで⁈良いなあ!ラブラブじゃん?」
そう言って、オカに背中をバシッと叩かれた。
送って、とか言われるかとドキドキしたけど、気を使ってくれたのか、オカはそういうことは言わなかった。
会計を終えて、マスターの出してくれたホットウーロン茶で時間を潰していたら雅治さんから「すぐそばの大通りに路駐してる」と連絡が来た。
オカとお店を出てから気付く。
オカはタクシー…って事は、一緒に大通りまで出るって事だよね⁈
どうしよう、必然的に雅治さんを見られてしまう!
そう思ってたら…
「俺、コンビニ寄ってくからここで。またな!」
と、オカは近くのコンビニに入って行った。
はぁー…よ、良かったぁ…
大通りに出ると、雅治さんの車がすぐに目に入った。
駆け寄って乗り込む。
「こんばんは。すみません!こんな遅くに!」
「俺が来たくて来たんだから、気にするな」
そう言って、頬をつねるような仕草で優しく撫でられた。
それだけで胸がキュンとして、顔が緩んだ。
俺のそんな顔を、こっそり後をつけて来ていたオカに見られていたなんて、この時の俺は気付きもしなかった。
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