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二人の夏休み …1
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金曜日。
夏休み残り3日。
最後の日曜日の午後以外はずっと雅治さんと過ごせる事になった。
そうそう。
雅治さんは日曜日に横浜までジムに通っているらしい。
家の近くにもジムは色々あるのになんでわざわざ横浜に?と聞いたら、そのジムに月一回、昔中国拳法を教わっていた先生が、太極拳の特別講師として来てるんだって。
それでそのジムの会員になったそうだ。
あのスタイルが、努力で維持されてると思うと、本当に尊敬する。
今日は、昼過ぎに雅治さんが迎えに来る。
二泊する準備しておいて、と言われたので、荷物を準備した。
特に、どこかに行くとかじゃなくて、雅治さんちにお世話になる予定。
二泊なんて初めてなので、ドキドキする。
ちなみに今日は、一緒に買い物に行こうと誘われた。
約束の時間に車で迎えに来てくれた雅治さんは、やっぱりカッコ良い。
乗ってすぐに、雅治さんが自分のスマホを取り出した。
「機種変したよ」
「わ!新しく出たやつですね!カッコイイ!」
雅治さんのメーカーから出た、最新の機種だった。
「ここだけの話だけど、これ、陸が関わったやつだよ」
そう言ってニコリと微笑んで俺の手にスマホを乗せてから車を発進させた。
「そうなんですか?わあ!なんか、嬉しいです!こうやって形になるのを見るのは!
…へぇ〜。俺も買い換えたいなぁ」
スタイリッシュなデザインで、カッコイイ。
黒って言うのも、雅治さんに似合う。
「それ他に、白、シルバー、コールドがあるんだけど…陸ならどの色にする?」
「そうですねぇ。ネットでちらっと見ただけですけど、僕は白が良いかなぁ」
俺がそう言うと、雅治さんが嬉しそうに微笑んだ。
「良かった。俺も、陸には白が似合うと思って…取り置きしてもらってるから」
「え?」
取り置き?
「今から、ショップに行って機種変しない?」
「今からですか⁈…あ、それで昨日、免許証持ってるか聞いたんですか?」
「そう。もし迷惑じゃなければ、だけど…」
「迷惑なんて!嬉しいです!雅治さんと一緒にやった仕事の記念になりますし…」
ふふっと思わず笑みがこぼれた。
突然でビックリしたけど…まあ機種代は分割にすれば良いからなんとかなるし。
それからしばらくして車を降りると、あるショップに連れて行かれた。
雅治さんがカウンターで何やらやり取りした後、出された書類に記入。
20分ほどで、処理は済んだ。
店員さんが席を外している間、ある事に気付いた。
「あれ?機種代の話、なかったですよね?」
「あぁ、気にするな」
「えっ?どういう事ですか?」
雅治さんは、笑顔でこう言った。
「プレゼント。もう支払いは済んでるから」
プレゼント⁈
「…えっ?そんな!そんな事してもらったら悪いです!自分で買いますよ!」
「これは、俺が買うってのが重要なんだよ」
「え?どういう…」
さらに、雅治さんが俺の耳元に囁く。
「常に持ち歩く物を、彼氏としてプレゼントしたいんだ」
う…わ…
これはつまり、彼女にアクセサリーを送って、肌身離さず着けてもらいたいのと同じことだよね?
自分に置き換えたら分かる。
こんな理由言われたら、嬉しくて断れないじゃん…
雅治さん、ズルいよ…
その時、店員さんが「お待たせしました」と戻って来た。
多分、顔が真っ赤であろう俺は、店員さんの顔が見れないままお礼を言って、紙袋を受け取って店の外に出た。
「あの…ありがとうございました」
「ん。こっちこそ、受け取ってくれてありがとう」
俺を見て微笑んだ雅治さんの顔は"彼氏の顔"だった。
こんな人が行き交う場所で、この笑顔を見せてくれたのは初めて…
「初めての、お揃いだね」
雅治さんが少し照れた感じでそんな事を言うもんだから、こっちまで照れてしまった。
心臓が心地良く跳ねる。
「持つよ」
そう言って俺から紙袋を取り上げる時、指をギュッと握られた。
もう。
いちいちドキドキして、どうしようもない。
いつか、このドキドキに慣れる日が来るのだろうか……
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