アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
二人の夏休み …8
-
「さっきの陸の牽制、思い出した」
振り返ると、雅治さんがたこ焼きを爪楊枝で持ち上げてニヤリとした。
「えっ?」
さっきの?俺の牽制?どゆこと?
と、首を傾げたら
「ん」
と、雅治さんはニコニコしながら俺にたこ焼きを差し出した。
うわ…
改めて口開けるの、すごく恥ずかしい…
でも、口もとにグイッと差し出されたら、食べない訳にはいかない。
恥ずかしいけど、口を開けてそのたこ焼きを頬張った。
もぐもぐ…
美味しい…
「フッ…ソース付いてる」
そう言って雅治さんは、親指で俺の口端を拭って、それをペロリと舐めた。
「!!」
ちょっ!何てことを!!
てゆーか、今の舐め方、ムダにエロくない⁈
俺の顔、今絶対赤い!
夕闇で見えない事を願う。
俺はビールを一気に煽った。
あぁ、もう。
さっきから…
雅治さんの唇を見るたびに、キスしたくて仕方ないんだ。
でも、こんなに人がいっぱいいるところで、できる訳ない。
それから俺は、なるべく雅治さんの唇を見ないようにして過ごした。
辺りが暗くなり、しばらくしてから、花火の開始のアナウンスが流れてきた。
「やっとですね!楽しみ!」
「うん。……ね、陸?」
「なんですか?」
雅治さんの方を向くと「ヒューーー」と花火が打ち上がる音がした。
「あ!」と、慌てて空を見上げる。
花火のドーーンという音がした。
けど、俺の目に入ってきたのは、雅治さんのどアップで…
唇に柔らかい感触がした。
「っ!!」
「今なら、誰も俺たちのこと見てないから」
そう言って、再びキスを落とされる。
もう…
なんでこんなに俺の欲しいものをくれるかなぁ。
悔しいけど…カッコ良すぎる。
それから雅治さんは、俺の手を取って指を絡め、空を見上げた。
「花火なんて久しぶり…」
花火に照らされる雅治さんの横顔はとても綺麗で、心臓がキュウっとなった。
「雅治さんと見れて、嬉しいです」
俺も、空を見上げた。
好きな人と見る花火は格別で、どれもキラキラして見える。
話しかける時、声が聞こえるように耳元で話したり話されたりするのが、くすぐったい。
花火の打ちあがっていた1時間弱、俺はとても幸せな気持ちで空を見ていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
224 / 559