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二人の夏休み …9
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花火が終わって、車に戻るまで、これまたすごい人混みだった。
はぐれないように…と悩んで出した結論が、雅治さんの袖を掴むことだった。
人前では、これが精一杯。
人にぶつからないように歩くのに必死で、特に会話もなく、車までたどり着いた。
車に乗って、お互い最初に口から出たのはため息だった。
「はーー…。花火はキレイだったけど、この人の多さは辛いですね」
「俺も、人混み苦手…。でも、花火、良かったな。また来年も花火大会行こう」
「はい!行きましょう!」
「じゃ、車出すよ。あ、トイレ行きたかったら早目に言って?高速乗るまで、渋滞してると思うから」
「はい」
雅治さんは、すぐに車を動かした。
けど…
俺はさっきから雅治さんと…その…キスがしたくて仕方なかった。
車に戻ったら…と思ったけど、周りは花火帰りの人でごった返してるし、車はなかなか動かないし、こんなとこでキスしたらただの晒し者だ。
仕方ない。
そのうち二人になれる、と我慢した。
けど…
だけど…
あぁ!
俺、どんだけ欲求不満なんだよ?
雅治さんの言った通り、高速入口へ向かう通りは渋滞していて、なかなか前に進まない。
キスは…前も後ろも車が詰まってるから(見られるから)無理だけど…
こんなにノロノロなら、手を繋ぐくらい良いよね?
と、雅治さんの方を向いた。
「あのっ…手、繋いでも良いですか?」
「もちろん」
雅治さんは一瞬俺を見て微笑んで、手を出してくれた。
その手をギュッと握る。
あぁ、やっぱり、手、気持ち良いな…
指を絡めてその感覚を楽しむ。
あぁ、俺、欲張り。
もっと触れたい…
俺は引き寄せられるように、雅治さんの手の甲にキスをした。
いつか思ったけど、この手を繋ぐ感覚って、身体を繋げることを連想させるんだよね。
こう、ぴったりハマって、絡み合う感じとか…
うん。
実際、本当にぴったりだったし…
……
俺の中で雅治さんの形とか熱とか硬さまでも分かったし…
………
っって!俺なに思い出してんだよ。
ムスコが反応しちゃうじゃんか。
「どうした?」
雅治さんがこちらを見た。
あ、いつの間にか、雅治さんの手に頬ずりしてたっ!
俺、変態!
「あっ!い、いえ、なんでもないです」
慌てて手を頬から離した。
「…ホントに?」
雅治さんが、意味ありげな目線をよこすもんだから…
こうやって一人で悶々とするより、もう言っちゃえ!という気になってしまった。
「あ…いえ…あの……キス、したいなって…。いや!分かってます!こんな風に誰かに見られる状況でしたいとは思わないです。けど…だから、その…手に……ごめんなさい」
「…謝らなくていいよ」
今度は雅治さんが繋いだ手を自分の方に寄せて、俺の手の甲にキスをした。
「俺も、したい」
う…わ…
全身が甘い痺れでゾワリとした。
雅治さんの「したい」が、別の意味に聞こえる。
俺、重症。
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