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続・各々の主張 …4
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『ビーーーーー』
後ろの車からクラクションを鳴らされてから、ハッと気付いて唇を離した。
信号が青に変わっていて、雅治さんはすぐに車を発進させる。
オカは黙ったまま。
どんな反応してるかは、俺の位置からは、分からない。
「オカ…俺は、誰に見られてもいいよ?俺もやましい事はないから。ただ、人前では好奇の目に晒されるから、しないけど…。
俺は、オカには…今は理解してもらえなくても、いつか分かってもらいたいと思ってる。俺は本気で…この人が好きなんだ」
俺がそう伝えると、オカが俺を振り返った。
「……」
オカが困った顔をして、前に向き直った。
「…認めなよ?オカくん」
突然、亜由美ちゃんがそう言った。
「オカくんは、さとちゃんの相手が男の人っていうのを認められないのかもしれないけど…小栗さんは、どう見ても素敵な人じゃない?さとちゃんの事が好きで、さとちゃんの事ちゃんと考えてるって言うのは、事情を知らない私でも分かるよ?
それに……見た?見たよね?さとちゃんの想い」
「う…」
オカが苦しそうに声を出した。
「大事なのは、男同士っていうより、好き同士っていう事だと私は思うなぁ。ここまでされて、二人のことをちゃんと見てあげないって、どうなのかなぁ?」
「うー…」
オカが唸る。
「さとちゃんもー。意地になりすぎだから。オカくんなら、そのうち分かってくれるって。ねー?」
「あ…ハイ」
亜由美ちゃん…
なんか強くなったな、と思ったけど…やっぱり変わんないな。
場の空気読んだり、こうやって橋渡しみたいになってくれるとこ…
急に、亜由美ちゃんがモジモジし始めた。
「さ…さとちゃんの…キ、キス……キッ、…キャーー!!やばい!やばいよ?何このラブラブ⁈発狂しちゃう!!久々に会ったさとちゃんが色気たっぷりな理由が、すっっごく分かった!いやー!!」
えっ⁈亜由美ちゃん⁈
亜由美ちゃんが、真っ赤になった頬に手を添えて、イヤイヤするみたいに身体をよじった。
い、色気って…
前に座ってるオカの反応は分かんない。
黙ったまま動かない。
一通り悶絶した亜由美ちゃんが、息を整えた後「騒いでごめんなさい」と、つぶやいた。
バタバタしてるうちに、どうやらオカの家の近くまで来た。
「あー。えっと、…オカくん、家はこの辺り?」
「…えっ?あっ!そうです!そこを…右で…あ、あの角で止めてください」
静かに車が停車する。
オカが、短く息を吐いた後、雅治さんの方を見た。
「色々失礼なこと言ってすみませんでした。送ってもらってありがとうございます」
「…いいえ。どうしたしまして」
シートベルトを外してから、今度は俺を振り返った。
「さとちん。受け止めるのには時間かかるかもしれないけど…。さとちんの気持ちは、分かった。…つもり」
「オカ…。うん。ありがとう」
オカが車から降りた。
ドアを閉める前にもう一度俺を見て
「また、飲みに行こうな」
と言ってくれた。
ドアが閉まって車が動き出す。
オカを見ると、笑顔で手を振ってくれた。
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