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続・各々の主張 …5
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「はぁーー…雅治さん、ごめんなさい。オカがあんなこと…」
オカと別れてから、どうしてもオカのしたことを謝りたくなった。
俺たちのことを認めたくなくても、あそこまで雅治さんにケンカ売るとは思わなかったから。
…嫌な想い、させたよね?
「ん?…あぁ。まあ、もしオカくんに会ったら、多少は何かあるだろうって思ってたし。それに、オカくんのアレは、陸のこと考えての行動だろ?」
「っ!…スミマセン…」
そんなやり取りを見た亜由美ちゃんが「なんか、良いなぁ」とつぶやいた。
「あ、亜由美ちゃん。あの…変なことに巻き込んでごめん。あと…ありがと」
「いえいえ、友達の幸せを応援出来るのって、嬉しいし。ただ、さとちゃんの行動にはビックリしたけど」
うふふ、と笑う。
「…っ、ごめん。あれは…どうかしてた…」
あの時は、カッとなってやっちゃったけど…
思い返せば、本当に何やってんだか…
雅治さんしか見えてない自分が恥ずかしい。
「それにしても、さとちゃんがこんな素敵な人を捕まえるなんてね〜」
「う……。それにしても、いつ気付いたの?俺らのこと」
「んー。オカくんが、あんなにカッコ良くさとちゃんを助けた小栗さんを敵視した事が引っかかって、観察してたら…何となく?ま、オカくんの『本気なのか?』って言うのが決定打だったけどね」
良かった。
俺たちの雰囲気とかでバレたんじゃなかった。
…んだよね?
「そっか…あ。言い訳みたいになるけど、あの…俺は男が好きなんじゃなくて」
「小栗さんだから、好きになったんだよね?」
「う…ん…」
同性が好きなのに女の亜由美ちゃんと付き合った、とは思われたくなかった。
傷付けたくなかった、っていうか、俺の変なプライド。
でも、彼女はあっさりと俺の気持ちを分かってくれた。
懐かしいな。
こういうところ…
「大丈夫、分かってるよ。私も、小栗さんに負けないくらいステキな人に出会ったんだから!」
「ははっ。うん」
俺たちのそんなやりとりを、小栗さんは黙って聞いていた。
それからすぐ、亜由美ちゃんの家に着いた。
「小栗さん、送っていただいてありがとうございました!…ほら、さとちゃん、助手席座ったら?」
「えっ?あ…うん。そうする」
亜由美ちゃんと一緒に車を降りる。
「じゃ、さとちゃん、またね!お互い…頑張ろ!」
「うん。またね」
助手席に乗り込んで、亜由美ちゃんに手を振った。
「じゃ、出すよ?」
車が静かに発進する。
なんか、不思議な気持ち。
今日は、色んなことが起こって…
何となく避けていた亜由美ちゃんと、和解できたし。
オカも、俺の気持ち分かったって言ってくれたし。
…変に興奮してる。
男たちに連れ去られそうになった時は…
今思えば、本当に怖かった。
しばらく、今日の事を思い出して、ボーッと外を眺めた。
「どうした?」
そんな俺の様子に気付いたのか、雅治さんが優しく聞いてくれる。
「ううん。なんでも、ないです…」
特に会話もないまま、車は雅治さんの家に到着した。
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