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下半期スタート
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10月。
下半期がスタートした途端、俺も雅治さんも仕事が忙しくなった。
俺は、S電機じゃないメーカーのヘルプに入って作業をする事になった。
そう言えば、雅治さんと初めて会ったのがこの時期だったなぁと懐かしく思い出す。
1年前のあの時は、まさかこんな関係になるなんて思わなかったよね。
ふふっ。
土曜日。
いつものように、雅治さんがうちまで迎えに来てくれて、どこか道の駅までドライブデートしようと出発した時のこと。
雅治さんが、明らかに怠そうな感じで、運転しているのに気付いた。
「雅治さん?なんか、すごいお疲れみたいですね?…大丈夫ですか?」
「んー…。ちょっと仕事が終わらなくて…」
そう言いなら、あくびをした。
「あの、きついなら無理してドライブなんてしなくていいですよ!帰りましょ?」
「いや、今日を逃すと、のんびりドライブなんて当分出来ない気がして…」
明らかに雅治さんの反応が鈍い。
「ダメです!帰りましょう?そうだ、家でのんびり映画でも見ませんか?この前、レンタル屋さんで見つけた新作のDVDで、見たいのがあるんですっ!」
「……」
「ドライブなんていつでも行けますから。…そうだ!ピザ頼んでビール飲むのも楽しそうだなぁ…」
「…分かった。ありがと」
雅治さんは、申し訳なさそうにそう答えて、車をUターンさせた。
「実は、職場で新人を付けられて…」
「新人…ですか?」
雅治さんの話によると、雅治さんの部署に配属された新人の教育係になったようで、自分の仕事が進まずに大変らしい。
で、昨日は深夜に帰ってきて、家でも仕事していたそうだ。
雅治さんのいるS電機は、入社して4、5年目に各部署に配属された新人を付けられて、下半期の半年間、みっちり面倒を見る「トレーナー制度」っていうシステムがあるらしい。
半年間は、いろんな面でサポートするのだそうだ。
必要があれば、プライベートの面倒も見るのだとか…
本当はやりたくないけど、社員教育の一環で全員対象なので、断れないんだって。
「それで、俺に付けられた新人が本当に若くて…ちょっと感覚が合わないというか…」
「へえ……。あの…女の子、ですか?」
「あぁ。そう」
女の子かぁ…
惚れられちゃったりして…
あ〜。
ちょっとモヤモヤ。
でも、仕事だし。
…でも、やっぱり気になる。
「何か気にしてる?大丈夫だよ?俺は、陸一筋だから」
「えっ?…あ…ありがとございます…」
心配が顔に出てたのか、雅治さんにそう言って微笑まれた。
恥ずかしい…
それから、コンビニに寄ってビールとか買って、雅治さんの家にお邪魔した。
オンデマンドで、俺が見たかった映画を選んでくれて、二人でソファに座って映画を見る。
雅治さんはよほど疲れていたのか、映画が始まってすぐに、俺の肩に頭をちょこんと乗せて、スヤスヤと眠り始めた。
…疲れているのに、デートのために出てきてくれたことが申し訳ない。
そう言えばさっき、今日を逃すとのんびりドライブなんて出来ない、みたいなこと言ってたけど…
忙しくなるのかな?
ただでさえ、繁忙期は大変そうなのに、そこに新人なんてつけられたら…本当に大変だよね。
ま、会えなくても仕事なら仕方ない…
ただ、今月は、雅治さんの誕生日がある。
10月22日。
雅治さんは31歳になる。
お祝い出来るかな?
22日は平日だから…難しいかな?
前後の土曜日とかで計画しよう。
肩に感じる雅治さんの温もりを味わっていたら、俺もいつの間にか寝てしまっていた。
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