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誕生日会 …4
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「そう言えば、社員証は見つかったんですか?」
「あぁ。見つかったのは見つかったんだけどね…」
雅治さんの話によると…
最初、会社内を散々探したけど見つからなくて、最寄り駅とか、上司やら担当部署に連絡したりとかして、一応警察に届けるかって時に、トイレから戻って来た後輩が「トイレに忘れてました」って泣きベソかきながら社員証を手に戻って来たんだって。
なんじゃそりゃ、だよね?
絵に描いたようなドジっ子じゃん…
で、俺に連絡出来なかったのは、後輩の隣でスマホいじってると「彼女ですか?」とかっていちいち聞いてくるから、面倒臭いんだって。
…苦手、かも。
会ったこともないのに、こう思うのはダメなんだろうけどさ。
ぼんやり雅治さんを眺めてたら、雅治さんが突然「あ!」と声を上げた。
「どうかしましたか?」
雅治さんが項垂れる。
「ごめん。また謝らなきゃならないことがある…」
「えっ?なんですか?」
「明日の日曜日、ジムに太極拳の先生が特別講師として来る日なんだよ…。それ、どうしても行きたくて…。昼前には帰るから…ごめん。来月は多分ジムに行けないから、今月は行っておきたくて…」
雅治さんが頭を下げた。
分かってる。
その先生が、雅治さんにとって大切な恩師って事も。
月一回の会える機会を大事にしてる事も。
それに、昼に帰るのはいつものこと。
…って、頭では分かってるのに。
今日の俺、どうしたんだろ?
なんか、イライラするんだよ。
寂しい…とか思っちゃうんだよ。
「…うん。良いですよ!行ってきてください!好きな事すると、ストレスも解消しますしねっ!」
俺がなんとかそう言うと、雅治さんは嬉しそうに笑いながら
「ん。ありがとう。…でもストレス解消なら、陸にくっついてる方が断然効果あるけどね?」
そう言って、テーブルの下の俺の腿の上に手を乗せた。
その手の動きにドキドキする。
頭ではなんとなく雅治さんのこと拒否してるのに、身体は…
もっと…触って欲しい。
「あ!そうだ!僕もそのジムに行っちゃダメですか?邪魔しませんし…。体験とかあるかなぁ」
そしたら、もう少し一緒にいられるよね?
そう思って雅治さんを見たら、雅治さんが固まった。
え?
「あ…。あぁ、どうかな?日曜日は人が多くて、体験には不向きかな?それに、太極拳は別のフロアでやってるし…俺が陸の面倒を見る事は出来ないし…」
雅治さんは、ちょっと慌てたような、そんな風にそう答えた。
「そう、ですか…」
「平日…、うん、平日なら人少ないし。ずっと着いててあげられるから。いつか必ず連れて行ってあげる」
雅治さんはそう言って笑った。
だけど、俺は何か引っかかって仕方なかった。
日曜日は、俺を来させたくないのかな?
そんな風に聞こえるよね?
…なんで?
なんで?
あー。
またモヤモヤが増えちゃった。
せっかくの誕生日会なのに!
「お…僕、先に風呂入って来ますね!…ゆっくり食べててください!」
そう言って、雅治さんの顔もろくに見ずに、浴室に逃げた。
お祝いしたい。
のに、今の俺の顔って、きっとお祝いムードな顔じゃない。
それは、今は見られたくない。
もう…「なんでなんで」が多すぎて、素直になれないんだよ…
乱暴に服を脱いで、自分を落ち着かせるように、シャワーを頭から浴びた。
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