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新人との対面 …2
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打ち合わせを再開してから、俺はモヤモヤと言うかイライラを募らせていた。
たまに松井さんが、雅治さんに身体を寄せて資料を指差しながら、小声で質問をするからだ。
「今のは、ここですか?」とか「なんでこの数字なんですか?」とか。
何度目かのそんなやり取りの後で雅治さんが
「松井さん、細かい質問は後で聞くし、こういう場で小声で聞くのは、相手に失礼だよ」
と言ってくれた。
「あ、すみません」
と、彼女は小さい身体をさらに小さくした。
ただ、その表情が「テヘッ♪」と言うような感じに見えて、なんか…
イラッとした。
雅治さんのことがなければ、気にならなかったと思う。
もしかしたら、可愛いな、とか思ったかも知れない。
だけど…俺は彼女のことをそんな風に見れなかった。
完全に、嫉妬。
あー。俺、心狭いな。
嫉妬のせいで、松井さんの事がマイナスにしか見えない。
仕事のお客さんなんだから、そんな目で見ちゃダメなのに…
それから、目の前の二人を見ないように、視線を資料に向けることに集中した。
一通りの確認が終わると、課長さんが立ち上がった。
「佐藤さん、すみません。次の打ち合わせがあるので、私はここで失礼します。
…小栗、あとはスケジュールの確認だけだから、大丈夫だよな?」
「はい。大丈夫です」
「任せたぞ。じゃ、佐藤さん、よろしくお願いします」
「あ、はい!ありがとうございました」
俺が再び椅子に腰掛けると、雅治さんが
「じゃ、スケジュールの話をしよう」
とノートパソコンを開いた。
「実は、さっき飛行機の中で作成したばかりで、まだそっちに送れてないんだけど…」
そう言って、パソコンの画面を見せてくれた。
雅治さんが、画面を指差しながら説明を始める。
松井さんもパソコン画面を覗くように身体を乗り出して…。
あぁ、やっぱり二人の距離が近い。
これは、誰にでもこうなのか、
それとも、雅治さん相手だからこうなのか。
これから一緒に仕事すると、こういう場面を何度も見ることになるのだろうか。
もし、彼女が雅治さんに好意を持っているなら…
辛い。
「…と言うわけで、最終的な締め切りは12月25日。これはマスト事項です。詳細はまた佐藤君にもメールするけど。ここまでで何か質問は?」
「えーと…いえ。大丈夫です」
雅治さんの作ったスケジュールは、最終日までに余裕を持たせるようなものだったけど、その分、プログラムの精度を高める必要があった。
普段のプレッシャーに加え、雅治さんにカッコ悪いところを見せたくないという、妙な緊張感に襲われる。
松井さんにも、仕事が出来ない人に見られたくないという、変なプライドも出てきた。
どうか、大きなミスはしませんように…
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