アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
結局、悩む …3
-
午後の最終確認後、課長さんに打ち上げに誘われた。
断る理由もなく、俺と佐々木さんはそれに出席する事になった。
業後、課長さんと、S電機の社員さん1名に連れられて、会社近くのこじんまりとした居酒屋に連れて行かれた。
ビールで乾杯したところで、雅治さんと松井さんが遅れて登場した。
「遅くなりました」
「お疲れ様でーす♪」
うっ…会社で見るのには慣れたけど、会社の外でこうして並んでいるのを見ると…二人の距離が、また気になる。
ここまで二人で歩いてきたであろう事も、気になる。
あーもう。
俺、気にし過ぎ…
俺たちのテーブルは8人掛けで、俺と佐々木さんが並んで座って、向かいにS電機の二人が座っていた。
「松井さん、ほら、今日は君の紹介でもあるんだから、そっち座ったら?」
課長さんが、俺の隣の空いてる席を指してそう言った。
「課長、紹介するなら、向かいに座らせた方が話しやすいでしょう?」
松井さんが動き出すより早く、雅治さんがそう言った。
「あ、それもそうか。じゃ、松井さん、こっち」
課長さんは、心なしか嬉しそうに自分の隣の席を引いた。
松井さんが「はーい」と返事をしている間に、雅治さんが俺の隣に座った。
すごく些細な事だけど、雅治さんが隣に座ってくれたことが嬉しくて、ニヤけるのを我慢するのに必死になった。
二人にビールが届いたところで、改めて乾杯をした。
課長さんはビールが進むにつれて絡み酒になってきた。
それを佐々木さんが必死に相手する。
たまに松井さんの飲み物や食べ物を気にしたりする課長さんは、レディファーストと言うか…確実に松井さんのことを可愛がってるようだ。
松井さんは、課長さんの話にたまに相槌を打つものの、その隙をついては、雅治さんやら俺に話しかけたり世話を焼いたりする。
媚びるような感じはないけど、俺からして見れば、確実に雅治さんに気に入られようとしてる。
そんな感じがする…
途中で、ポケットの中のスマホが何度も震えたので、なんだろうと見てみたらオカからの着信だった。
家に帰って掛け直そう、とスマホを仕舞おうとした時に、松井さんに「あっ!」と指差された。
え?と、動きを止めると
「そのスマホ、夏にうちから出た機種ですねっ!小栗さんと色違いだ〜」
と言われた。
「あ、ホントだ。俺とお揃いだね?」
雅治さんが白々しく「お揃い」なんて言いながら、自分のスマホを取り出して微笑んだ。
うん。ハリウッドスマイルで。
「あっ!色違いですね〜」
…なんちゃって。
雅治さんがお揃いで買ってくれたヤツです。
「お揃い良いなぁ!それ、私も気になってたんですよね〜!私もお揃いにして良いですかっ?」
えっ?
雅治さんと、お揃い?
嫌だけど…
それって「良いよ」しか返事出来なくない?
むむ…
「それなら、もうすぐ冬モデルが出るだろ?それにしろよ。社員が…しかも開発者が型落ち品買うなんて、マイナスイメージしかない」
と、雅治さんが返した。
おおっ!雅治さんカッコイイ!
お揃いを拒否してくれて、単純に嬉しい。
「じゃあ、一緒に買い換えましょう〜?小栗さんと私の仲じゃないですかぁ」
そう松井さんは可愛らしく言った。
少し酔ってるのか、職場と比べると、馴れ馴れしい…
「いや、俺は買ったばかりだよ?すぐ買い換えるのも、それはそれで問題だろ?」
「えー。うーん、それもそうかぁ。ざんねーん」
松井さんはほっぺをちょっと膨らましてから、グラスを口にした。
松井さんって何ていうか…妹キャラ?
甘え上手と言うか、なんか可愛さで許せるような?そんな雰囲気を持っている。
俺の場合は…松井さんを「可愛いから」では許せない理由があるけどね。
うん、切実に…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
269 / 559