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結局、悩む …4
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そんなダラダラとした会話が続いて、飲み会もお開きとなった。
課長さんが「皆疲れてるだろうから早めに解散しましょう」という言葉のあと、サラーッとすごいことを言った。
「じゃ小栗、いつもみたいに松井のこと、宜しくな」
え?
いつもみたいに?
「え?今日はまだ早いですし…僕、車じゃないですよ?」
雅治さんが少し嫌そうな顔をした。
「今日は金曜日!な?忘年会で酔っ払いも多いし送って行ってやれ」
「小栗さん、お願いしますぅ〜」
松井さんが90度にお辞儀をして、頭を上げた時「おっとっと」と言いながら、フラフラして雅治さんの腕を掴んだ。
ドキ…
「おっと、松井さん、大丈夫?…方向同じなら俺が送ってもいいんだけど…。な?小栗、路線同じなんだから、送ってやれよ」
「……はぁ。分かりました。ほら、自分で歩けるだろ?行くぞ」
「はぁーい!」
雅治さんは松井さんの手をやんわりと外して、歩き始めた。
松井さん、嬉しそうにしちゃって…女の子らしくて、なんか可愛いなぁ。
そんなやり取りを眺めながら、俺は自分の中に黒いものが湧き出てくるのを感じていた。
雅治さん、残業の日は車で松井さんのこと送ってるんだろうか。
いつも、ってことは…毎日?
恋人に見えなくもない距離で並んで歩く二人を見ながら、課長さんの後ろについて皆で駅に向かった。
途中で課長さんが俺たちに並んで小声で言った。
「最近は新人を辞めさせないために、色々気を使うんですよ…。松井も新人なのに残業頑張るもんだから…様子見もかねて、ああやって誰かに送らせてるんです」
「なるほど…女の子ですから尚更ですね。うちも、新人には色々気を使ってます」
課長さんと佐々木さんが新人の愚痴をコソコソと話し出したけど、俺は反応することが出来なかった。
ただじっと、前の二人を見た。
見ないようにしようと思うのに、目が追った。
駅についてすぐに、トイレに行きたいからと言ってその場を去った。
雅治さんと松井さんには、挨拶せずに…。
なんで、松井さんを送ってること教えてくれなかったんだろう。
……それは、仕事の延長で義務で送ってるだけだから。いちいち言う必要ないし。
駅に向かう前、ちょっとでいいから俺に目配せでもしてくれたらよかったのに。
……変に俺に気を使って、俺達の関係がバレる方が問題だ。
あんな寄り添って歩かなくてもいいのに。
……多分、俺が雅治さんの立場でも、いちいち距離近いって訴える方が、逆に意識してるみたいだし、面倒臭いから言わない。
ダメだ。
黒い気持ちが溢れてくる。
この前、松井さんのこと気にしないって決めたばかりじゃん?
俺の立場は恋人なんだから、気にする必要ないって思ったじゃん?
なのになんでこんな事考えちゃうのかな?
それは…
やっぱり、見ると実感しちゃうからだ。
カッコイイ雅治さんの隣には、女の子が立ってるのがしっくりくるって。
はぁ…
皆が電車に乗るぐらいの時間を見計らって、トイレから出た。
何も考えないように電車に乗って、家に戻った。
家に帰り着いて、シャワーから上がったところで、スマホが震えてるのに気付いた。
雅治さんかも?と思って、画面を見たら…
オカだった。
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