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不安定な気持ち …3
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次の日は朝から雅治さんが来てくれた。
一緒にデータを確認して、プログラムに修正を加えたりする。
松井さんは俺たちの後ろで、作業の仕方を勉強しているようだ。
夕方になって…
今日も俺は、モヤモヤを募らせていた。
頻繁にって訳じゃないけど、何か質問があると、松井さんが小栗さんの肩をポンと叩いたり、すごい近い距離で画面を覗いたりしてくるのだ。
雅治さんにこれだけくっつくのは、やっぱり好きだからだよなぁ…
あー、そんなに近付かないでよ。
あ、雅治さんがちょっと引いた…
ふふ…
あ、松井さんがまた近付いた。
むむっ…
っだー!!
ダメダメ!
今日も、あと少しで終わるんだから、気にするな、俺!
二人のことを見ないように、と暗示をかけながら、プログラムを修正したり、プログラムファイルを整理したりしてした。
でも…気になる。
二人が俺の分からない製品の詳細とか話してると、疎外感もあって悲しくなる。
そして…
集中力を欠いていた俺は、ミスを犯すこととなる。
「あれ?」
突然、プログラムがうまく動作しなくなったのだ。
「どうした?」
「あ、いえ、コンパイル(プログラムを機械で動作させる状態にすること)エラーが出て…」
おかしい。
さっきまで出なかったエラーが、出てしまった。
エラーを追っていくと…
「あ…」
複数あるプログラムファイルのうちの一つが、消えていた。
今日の午後からずっと修正を入れていたプログラムファイルだ。
あれ?
さっき、このファイルの整理した時、どこかのフォルダに移したかな?
…ない。
検索かけても…出てこない。
ウソ…
最悪…
「あのっ…申し訳ありません!ファイルが一つ、消えてしまったみたいで…」
「え?どうして?」
「さっきフォルダの整理をした時に、間違って消してしまったんだと思います。本当に、申し訳ありません!」
「えー…」
松井さんのため息混じりの呟きに、胸が苦しくなった。
多分…
二人に気を取られて作業したせいだ。
「バックアップは?」
「っ。すみません。今日の午後の分は…一度も取ってなくて…」
俺、最悪。
何やってるんだろう…
「じゃあ、今日の修正部分は?またやり直し?」
「いえ!それは、メモを取りながらやっていたので大丈夫です。直近のバックアップファイルをアップロードして…それを修正すれば、1時間もあれば復元できます」
「そうか…」
雅治さんが大きなため息を吐いた。
怒ってる?
って言うよりは、呆れてる?
あぁ。
また、自己嫌悪。
仕事でも、迷惑をかけてしまった。
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