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不安定な気持ち …4
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雅治さんが、俺の顔とパソコンの画面を眺めた後、こう言った。
「佐藤くん、疲れてるんじゃない?今日はそのファイル復元したら、もう帰っていいよ?」
えっ?
帰っていい?
というか…帰れってこと?
その、拒絶のような言葉に、ズキンと胸が痛む。
「あの…でも…明日の祝日は出れないんですよね?…間に合いますか?」
この九州支社は、休日出勤とかが厳しくなって、明日の23日の祝日は、出勤出来ないと言われているのだ。
「この状況なら、問題ないよ。それより…昨日もホテルで遅くまで作業したんじゃない?疲れてる状態で作業されても…。効率悪いでしょ?」
雅治さんの言葉は、攻めるような物言いではなかったけど…
今は何を聞いても、責められてるような気分になった。
自分が仕事出来ないって言われているみたいで。
と言うか、実際それだけのミスを犯したんだから…
松井さんは何も言わないけど…きっと呆れてるんだろう。
「申し訳ありません。ファイルはすぐに復元します。お時間ください。あと…今日、出来るところまでやりたいんですけど」
「いいよ。無理しないで。…とりあえず、ファイル復元出来たら連絡して?事務所に戻ってるから」
「はい。すみませんでした」
最後の方は…
顔が見れなかった。
突き放されてるみたいで、辛い。
雅治さんに呆れられてるのが、辛い。
でも…
辛くても、これは仕事。
完全に俺が悪い。
甘やかされても、逆に辛いだけだ。
本来なら怒られてもいい場面だし。
あぁ。
ヤキモチを、仕事にまで持ち込むなんて…
俺のバカ、俺のバカ…
それから必死でファイルを復元して、雅治さんに頭を下げて、出来るだけデータを取らせてもらった。
明日の休み、今日取ったデータを全て見直そうと思ったから。
だって、他にもミスしてるかもしれない。
今になって…ちゃんと出来てるか自信がなくなった。
だって俺、ずっと松井さんと雅治さんを目で追ってたんだから…
その日の夜、俺はコンビニで買ったビールを煽って、早目にベッドに入った。
睡眠不足で、またミスしても意味がない。
うん。
雅治さんの言うように、昨日は日付が変わるまでパソコン眺めてて…疲れがない訳でもないし。
客先は、特に気疲れもする。
寝よ、寝よ。
俺が寝入った後、雅治さんから何度か着信があったけど、ビールが効いたのか、俺はそれには気付かずにぐっすり眠っていた。
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