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モヤモヤの原因 …3
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あぁ。
もしかして、会ってる途中で邪魔が入ったり、会える予定が潰れたり…あの、俺がモヤモヤする原因の全ては、彼女が意図的に作ってたってこと?
雅治さんを、彼女に会わせないようにして、ぬいぐるみとかでヤキモチ妬かせて…
そっか。
あれは、牽制とかじゃなくて…罠なんだ。
別れさせるための仕掛けだったんだ。
俺は…あれを見てどんな気分になったんだっけ?
混乱して、歩けなくなった。
近くの柵に身体を預けて、これまでのことを色々と思い出す。
俺は、まんまと、松井さんの罠に嵌ってたんだ。
モヤモヤ…させられてたんだ。
さらに、近くで彼女のアプローチを見せつけられて、自分でドロ沼に嵌まるっていう…ダブルパンチ。
頭が、グルグルする。
いつまでそうしていたのか、ポケットの中のスマホが震えたことで、我に返った。
表示を見ると、雅治さんだった。
あぁ。
雅治さんは?
罠を仕掛けられてない?
俺の知らないところで、もっとアプローチを受けてるんじゃないだろうか。
それより…
俺はモヤモヤを雅治さんにぶつけたりしなかった?
雅治さんだって、彼の優しさと仕事の忙しさに付け込まれて…迷惑を被ってたんだ。
改めて自己嫌悪。
あ、電話、出なきゃ…
「……」
『…もしもし?…陸?』
「あ。はい!すみません…」
『様子を伺おうと思って電話したんだけど…今、外なのか?』
「あ…の…ちょっと出かけてたんですけど…もうホテルの目の前です」
『…どうした?様子がおかしいけど?』
「…っ」
なんだろう。
会いたい。
今すぐ会って、顔が見たい。
「あのっ…今から、部屋に行ってもいいですか?」
『えっ?うん、良いけど…。じゃ、部屋で話そう。部屋は812だよ』
「ありがとうございます。…着いたら、ノックしますね」
電話を切ってから、急ぎ足でホテルまで戻った、エレベーターに乗って8階を押す。
頭は混乱したまま。
でも、雅治さんの顔を見たら、落ち着ける気がした。
松井さんは…これからも何か仕掛けてくるんだろうか?
俺と雅治さんが別れるまで、邪魔してくるのかな?
エレベーターを降りて、雅治さんの部屋のドアをノックすると、間を置かずにドアが開いた。
「やぁ」
雅治さんの、仕事じゃない笑顔の顔がそこにあって、胸がキュウッと締め付けられる。
ドアが閉まると同時にその身体に抱きついた。
「陸?…陸?どうした?何かあった?」
雅治さんは優しく俺を抱き返してくれた。
包まれる温かさに、いつまでもこうしていたいと思う。
俺にこの温かさをくれるのは、雅治さんだけ。
何があっても、別れたくないよ。
「さっきそこで…松井さんに会って…」
…あっ!
どうしよう…
ここまで言って、松井さんのことを雅治さんに告げ口していいのか迷ってしまった。
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