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モヤモヤの原因 …6
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「…とりあえず、もう、松井は家にあげないし、ぬいぐるみは…次の機会に松井に必ず持たせる。陸への連絡もどうにか増やす。あとは…仕事中に距離が近いのは…なるべく離れる。あとは…えーっと…」
「あ、あのっ!」
身体を起こして、雅治さんの顔を見た。
「そうじゃないんです。雅治さんに迷惑かけたいんじゃなくて…」
「陸。これは迷惑じゃない。…そうだなぁ…俺が陸のためにやることなんだから。陸は?甘えてくれないの?」
「…っ。だって…甘えるって、どうしていいか…」
雅治さんがあまりにも優しくて、顔を見るのが恥ずかしくなって、俯いた。
その後、雅治さんからため息が聞こえてきて…
呆れられたのかと、さらに顔が上げられなくなった。
「あの…ごめんなさい…」
「いや、違う。不安なのは、俺の方なんだ」
え?
どういうこと?
「昔付き合ってた子達は…俺のこういう気が利かないところが嫌で離れて行ったんじゃないかと思うんだ。
向こうが離れて行っても、俺は追いかけたことがないから…実際のところ分からないけど。
でもだから…こういう時、どうしていいか、分からない。
陸も…あの子達みたいに離れていかないか…今、すごく、不安で…」
いつも、自信たっぷりな感じの雅治さんが情けない声を出した。
思わず顔を上げて雅治さんを見る。
「だから…陸にはもっとワガママ言ったり甘えたりして欲しいんだ」
「〜っ」
今までさ、俺が悩んでた訳だけどさ…
こうやって、大の男が恋愛でしょんぼりして悩む姿が…やけに可愛く見えて…
あぁ、不器用な人だなって、思った。
雅治さんって恋愛下手…なのかな?
俺がさ、甘え慣れてないのは、仕方ないでしょ?
だって、男だもん。
でも、雅治さんは…甘えさせることに慣れてないのかな?って思った。
俺たちは慣れない事で、お互い悩んでる。
不謹慎だけど、雅治さんがそんな風に俺のために悩んでくれてることが、特別って感じがして…嬉しい。
悩んでたのは、俺だけじゃないんだと思ったら…
なんだか、少し気分が軽くなった。
「僕…もっと、雅治さんに甘えたいです。…もっと、甘えられるようになりたいです。そしたら…松井さんに惑わされなくなる…かな?」
雅治さんが、俺をぎゅーっと抱きしめた後、そっと身体を離した。
おでこを、コツンとぶつけて
「ん。…もっと、甘えて?」
って言ってくれた。
今、素直に甘えるとしたら…
キスが、したい。
ゆっくりと顔を上に上げると、雅治さんの目に頬を染めた俺が映っていた。
その目がだんだんと近づいてきて…
ゆっくりと、ゆっくりと、唇が重なった。
キスまでの数秒にこんなにドキドキしたのは、ファーストキス以来…
いや、それとは違う…もっと深いドキドキだった。
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