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少しの変化 …1
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次の日の朝。
いつもは仕事に行くのが億劫なのに、なぜかウキウキした気分で会社に向かった。
もう、松井さんには惑わされないもんね!
昨日までの俺とは、違う自分な気がした。
朝、作業ルームにまず松井さんが来た。
「おはようございま~す♪」
「おはようございます!先日はすみませんでした。今日もよろしくお願いします」
「い~え♪後少しですから、頑張って終わらせましょう~」
「はい!」
うん。
普通に対応できた。
大丈夫、大丈夫。
その後すぐに、雅治さんが来て、同じような挨拶をした。
「じゃあ、残りをサクッと終わらせよう」
「はい!」
うん。
ちゃんと敬語、使い分けられた。
大丈夫、大丈夫…
ふふっ
俺のその考えが雅治さんにも通じたのか分からないけど、雅治さんが、俺にニコッと微笑んでくれた。
それから…
先日の作業の続きを、雅治さんと一緒に進めた。
松井さんは変わらず、雅治さんに近かったけど、その度に雅治さんがピクッてなるのが可愛らしいと言うか、意識させて申し訳ないと言うか…
とりあえず、前みたいに嫌な気分になることはなかった。
そして、昼休み。
三人で社食に行った時のこと…
「今日は、定時くらいに上がれそうだな」
俺の隣に座った雅治さんがそう言った。
「そうですか?予定通り終われそうでよかったです」
ほっと胸をなで下ろす。
「佐藤君が頑張ってくれたおかげだよ。まだ明日の最終確認はあるけど…今日、打ち上げどう?」
「良いですね〜♪」
俺が答える前に、雅治さんの向かいに座った松井さんがそう言った。
「そうだ…松井さん。松井さんは、明日、帰っていいから」
「え?」
雅治さんの突然の言葉に、松井さんが固まった。
「納品も、組み込みも、明日の午前で一通り終わりだから。後でホテルに明日チェックアウトって伝えといて」
「小栗さんの分も連絡しておきますか?」
「俺は別ジョブで、まだこっちに残るから。俺のはいいよ」
「え?…じゃあ…」
松井さんが、不満げな顔をした。
「もう、正月休みに向けて、新しい仕事はないから。明日は直帰でいいって、課長のOKも出てるし」
「そう、ですか……分かりました〜」
松井さんの不満顔はほぼ一瞬で、すぐに笑顔になって雅治さんの指示を了承した。
…もっと、食い下がるかと思った。
でも、こうやってうまい具合に聞き分けたりするから…雅治さんも強く松井さんを拒めないんだろうなって思う。
松井さん、強敵です。
食事後、松井さんと別れた後で、雅治さんが小声で俺にこう言った。
「陸は、明日も泊まりね」
「え?あ、はい。…っって、えっ⁈」
今、『陸』って言った!
会社なのにっ!!
どういうこと?
泊まりって…プライベートでってこと⁈
「こっちでうまい具合に作業準備するから。佐々木さんに了承取っておいて」
そう言って、ニッと笑った。
「わ、分かりました」
あ、作業があるのね。
でも、うまい具合って?
俺が頭を混乱させていると「じゃ、午後の作業も宜しくね」と、俺の頭をポンッと叩いて事務所の方に去って行った。
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