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モヤモヤ再び? …3
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顔を洗って気合を入れ直してからトイレを出たら、廊下に河野さんが立っていた。
「お疲れ様です」
「あっ、お疲れ様です!」
河野さんは、俺の横に並んで歩き出す。
あれ?まさか俺を待ってた?
たまたま、トイレから出たタイミングが一緒だったとか?
「大丈夫?」
突然、河野さんがそんなことを言った。
「え?」
何のことだろうと河野さんの顔を見ると、河野さんが肩を竦めて言った。
「あの子、結構曲者でしょ?…戻ってきた時の佐藤さんの様子が気になって…。松井さんに、何か言われた?」
河野さん、俺の様子がおかしいの、気付いてくれたんだ。
「いえ。何でもないです。あの…、すみません。迷惑かけて…」
「何言ってんの?迷惑かけてるのはこっちでしょ?」
「いや、でも河野さんは関係ないから…」
「あら!寂しいこと言うわねぇ。何にせよ、うちの社員が仕事の合間に迷惑かけてるなら、私にも謝る理由はあるわ」
うう。
何てゆーか、カッコいいなぁ、河野さんは。
「で?あの子に何か言われたんでしょう?…まさか、あなた達の事、バレたりしてないわよね?」
河野さんが、少し険しい顔をした。
「それは…ないと思いますけど。…えっと…」
河野さんは、松井さんが雅治さんのことが好きって知ってるのかな?
河野さんも、何かされたり、言われたりしたんだろうか?
「あぁ…。あの子、小栗くん狙ってるでしょう?そう言うの腐るほど見てきたから分かるわよ。何より、私にも敵意むき出しでさ。…ふふっ。若いわよね〜」
河野さんは遠くを見ながら、楽しそうに微笑んだ。
「で、佐藤くんが何かダメージ受けてんじゃないかと思った訳。もし何かあれば相談してよね?いや、何かなくても聞きたいわね。小栗くん、気が利かないところあるし。何かあってからじゃ遅いんだから…」
河野さんが、俺たちのこと助けようとしてくれてることが、なんかとても嬉しかった。
「ありがとうございます」
ふと、以前に松井さんが「河野さんが私にヤキモチ妬いてる」的なことを言っていたのを思い出した。
それで私に意地悪だとか何とか…
そんな訳ないと思いつつ、やっぱり気になって、河野さんに聞いてみた。
「河野さん…あの…河野さんは松井さんにヤキモチ妬いたりしないんですか?」
河野さんは一瞬キョトンとした顔をして「あぁ」と笑った。
「私、もう彼に気持ちはないわよ?お陰様で。ヤキモチ妬く理由なんてないし。…何?あの子、私がヤキモチ妬いてるとか言ったの?」
そう、楽しそうに言った。
「いえ…あの…なんてゆーか…」
河野さんの余裕っぷりに、見惚れた。
例え好きって気持ちがなくなったとしても…松井さんのこと、まったく気にならないのかな?
とりあえず、河野さんは松井さんに意地悪するような人じゃない。
それが確認出来て、安心した。
「まあ、いいわ。…とりあえず、今日の打ち合わせ後半、頑張りましょ?上の空だったら、容赦なく突っ込むわよ?」
会議室の前に着いてそう言った河野さんに、背中をバチンと叩かれた。
「っ!…はい!」
今の、マジ痛かった…
でも、顔洗うなんかより、断然気持ちが入れ替わった。
それから、すぐに再開された打ち合わせは、問題なく進めることが出来た。
河野さんが見張ってると思ったら、松井さんとも、雅治さんともちゃんと向き合えた。
打ち合わせの途中で、今回のプログラムは大きく二つに分けられるので担当を決めましょう、と言われて、雅治さんの担当する部分のプログラムを佐々木さんが、河野さんの担当する部分を俺が受け持つ事になった。
次回の打ち合わせを来週の水曜日に決め、その日はすぐに解散となった。
その日の夜、雅治さんとおやすみのLINEをしたけど、松井さんの事をどう聞いていいか分からず、結局何も聞けないままになってしまった。
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