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俺の周りの女性は強い
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次の日、朝起きたら、河野さんから夜中にLINEが入っていた。
"松井さんの件、個人的にはどうでも良いんだけど、佐藤さんが何かされてるなら話は別よ?"
それからもう一言。
"来週辺り、飲みにいきましょう"
うう。
これは、河野さんに甘えても良いんだろうか…
ぶっちゃけ、松井さんのことを知る人に、話と言うか…ほぼ愚痴になるけど…を聞いてもらいたい気持ちはある。
"ありがとうございます!是非、飲みに行きましょう!"
送った後で、お誘いは社交辞令なのかも。と思ったけど、河野さんにいつでも話を聞いてもらえると思っただけで、少し気分が軽くなった。
俺、単純。
その週の金曜日。
毎年恒例の会社の新年会が開かれた。
今年は、居酒屋3時間貸切!飲み放題!
景気が上向いてきたので、景気良くやろうぜ!と言う趣旨らしい。
俺の懐はまだ不景気だけど…
恒例行事の、上司やら幹部やらへのご機嫌取りの挨拶周りを済ませた後は、松尾と一緒に年末年始の特番の話をしながらチビチビ飲んでいた。
ちなみに…「今日は飲み過ぎないこと!」と、雅治さんからヤキモチ的な嬉しい注意を頂いたけど、挨拶回りの際に散々飲まされた俺は、すでにホロ酔い状態。
雅治さんも、今日は部署の飲み会って言ってたなー。
松井さんもいるのかなぁ?
…いるよなぁ?
あ、それ考えたらモヤモヤする。ダメだ。
そんなこんなで一次会が終わり、二次会は今年は部署入り乱れて、好きな奴らと!みたいな流れになった。
俺は誘われるまま、松尾と一緒に適当なグループの二次会に向かおうとしていた。
お店を出たところで、誰かにツンツンと袖を引かれる。
振り向くと、ほんのり顔を赤くしたアキちゃんが立っていた。
「佐藤さん!お疲れ様で〜す!」
「お疲れ様〜。どうしたの?なんか顔赤いね?」
「お酌に行ったら、あちこちで捕まって…あまり食べる間もなく、飲んじゃってぇ」
明らかに酔った感じで、アキちゃんが「えへへ」と笑った。
アキちゃんは皆の人気者で引っ張りだこだし、彼女も注がれたお酒は断らない、みたいなタイプで…飲み放題とかになると、たまにこうして酔っ払う。
「うわ…大変だったね。…大丈夫?」
「だいじょーぶです!自分の加減、知ってるんで!」
そう言ってVサインを出したアキちゃん。
確かに、いつも酔っても、羽目を外したり無茶したりする事はない。
本当にしっかりした子だ。
「ところで…佐藤さんは誰のところの二次会に行かれるんですかー?松尾さんも一緒ですかぁ?」
「うん。松尾も一緒だよ」
そう言うと、アキちゃんはすぐそばにいた松尾に「ちょっとコンビニまで佐藤さんに付き合ってもらうんで、二次会の場所分かったら連絡下さ〜い!」と言って、俺の背を押して歩き出した。
「ちょ、アキちゃん?どうしたの?」
「最近、佐藤さんと喋ってないなーと思いまして」
「そう?」
ほぼ毎日、挨拶してない?
あ、挨拶とかじゃないってことか。
「そうですー。小栗さんとは、最近どうなんですかー?」
喋ってないって、そっちのことー⁈
「どうって…まぁ…仲良くやってるよ?」
「本当ですかぁ?…私は見逃しませんでしたよ?」
「えっ?何を?」
「月曜日、S電機の打ち合わせから戻ってきた時、佐藤さんがため息吐いてたのを!!」
ええー?
そんなとこ見てたの?
「あれは、単純に疲れてただけだよ」
うん。色々あったけど…
「そうですか?河野さんとやらが、また何か仕掛けてきたとかじゃないんですか?」
いつも以上にグイグイくるアキちゃんは、やっぱり酔っ払い…
「いや、河野さんは関係ないよ?」
「河野さんは?関係ない?…じゃー、他の人が関係あるんですかっ?」
「うっ…」
アキちゃん…本気で俺の異変に気付いたのか…酔ってる今は、判別不能。
「話してくださいよー。私は佐藤さんの何の役にも立たないかもしれませんけど、愚痴ぐらい聞いてあげたいんです〜」
いつもの俺なら、ここでやんわりと上手い具合に交わしていたと思う。
だけど、お酒の入っていた俺は、素直に口が開いてしまった。
「うーーん。じゃあ…愚痴、聞いてくれるー?」
俺がそう言うと、アキちゃんが嬉しそうに頷いたので、俺は愚痴を聞いてもらう立場なのに、何故か良いことをした気分になった。
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