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「…じゃ、後はスタジオ案内だけなんだな?それなら、続きは俺がやっとくから」
「え?でも…」
「いーから、いーから。……じゃ、参りましょうか?」
山田店長さんとやらは、さっきまで俺たちを案内してくれたスタッフに受付に戻るように指示すると、笑顔で俺たちを振り返った。
「それで…今やっている太極拳のクラスに知り合いがいらっしゃるとの事ですけど…よろしければ、その方の名前を教えて頂けませんか?」
「あー、えっと…」
俺もアキちゃんも、二人で口ごもる。
雅治さんに伝わったら困るから…
「あぁ、大丈夫です。本人には言いません。私が先に覗いて、その人から見えない位置か確認してからご案内したいと思って…」
おー、なるほど。納得。
「えっと、小栗…雅治さんです」
俺がそう答えると、店長さんは顔をパアッと輝かせた…ように見えた。
え?なんだろ?知り合い?
てゆーか、この人、何で俺の名前を確認したの?
「あ、スタジオは上の階になります。スタジオでは、曜日毎に違ったレッスンが受けられます。平日は、夜のコースもありますから、仕事終わりでも通えますよ?
……さて、こちらがスタジオになります。今日は、月に一度の特別講師が来ている日で…いつもより生徒が多いですが…」
店長さんが喋りながら歩く後を着いて行く。
なんで俺の名前を確認したのか、聞くタイミングがないまま、スタジオの前まで来た。
店長さんが「ちょっと待ってくださいね」と言って、ガラス張りになっている大きなドアから中を覗く。
俺たちを見て一つ頷いて「こちらへ」と言われた。
ドアから中を覗くと…教室2つ分くらいの広さの部屋に、20人ちょい?ぐらい人がいるのが見えた。
ここから見えるのは、一番遠くにいる講師の顔だけで、他の人は後ろ姿だけだ。
店長さんが、スタジオの説明をしている間、俺は中の様子をこれでもかと観察してしまった。
雅治さんは…前列の端にいた。
後ろ姿でも分かる。
うわー…型っていうの?
すごいキマってる…カッコいい…
雅治さんの周り…と言うか、前の方はほとんど男性だ。
女性は3分の1くらい?
そして…松井さんは、後ろの方にいた。
何か、ヨタヨタしてる。
雅治さんの近くに行きたくても、あれじゃあ恥ずかしくて前の方に行けないだろうな。
ふふ…
若い女性も数人いるけど、雅治さんは真面目にやってるようにしか見えない。
うん。大丈夫。
でも…だとしたら、雅治さんは何で俺をここに来させたくなかったんだろう。
うーん…
「何か、気になることがありますか?」
「……えっ?あっ!いえ…」
うわ!恥ずかしい!
店長さんに突然話しかけられて、すぐに反応出来なかった。
話を聞かずに中を覗いていたことがバレバレだ。
店長さんは、そんな俺を見て、顔をふやぁっとニヤけさせた。
「フフッ…。もしかして今回は…何か理由があって、こちらに来られたんじゃないですか?」
えっ?
通う気がないのに見学してるってバレた⁈
「あのっ…実は、通うか悩んでいるのは私で…彼は付き添いで来てもらっただけなんです」
アキちゃんがそう言った。
「そうですか…いえ、責めてる訳ではないんですよ?気を悪くしたら申し訳ないんですけど…何か気になることがあって、佐藤さんはこちらに来られたのかなー、と思いまして」
「えっ⁈」
ドキリとして、マジマジと店長さんを見てしまう。
「あの…そういえば先程、僕の名前確認されましたけど…どこかでお会いしたことが?」
「あ、いえ、お会いした事はないですけど…あなたの事は、よく知ってますよ?」
「え?…どういう…」
「俺、小栗雅治の、友人ですから」
店長さんのその言葉に、俺もアキちゃんも、言葉を失った。
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