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雅治さんの友人 …2
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アキちゃんがひるんだのは一瞬で、すぐに立て直して次の質問を繰り出した。
「小栗さんがスポーツクラブ内で浮気してるってことは?」
うわ、ストレート…
「えっ⁈ないない!…今あいつ、マジでりっちゃん一筋だから!」
ニコニコとご飯を頬張るヤマさんを見て、頬が熱くなる反面、何か恥ずかしさで居心地が悪くなった。
えーと、つまり、雅治さんは浮気してないのに、俺が勝手に悩んで、こんな行動に出ちゃったって事?
ヤマさんは、そんな俺に、優しく微笑みかけてくれた。
「オグってさ、クールに見えるよね」
「まぁ…そう、ですね…」
「でもあいつ、中学ん時から付き合ってきた俺から言わせたら、クールって言うか、ただ口数が少ないだけなんだよね〜。気が利かないっつーかさぁ。それでりっちゃんをこんな事で悩ませてんだろ?…本当、面倒臭いヤツだよなぁ」
「……」
クールじゃ、ない…
確かに、雅治さんってクールだなって思うことがある。
でもそれは、口数が少なくて、意思疎通が取れてないだけ?
なんてゆーか、俺、まだまだ雅治さんのこと分かってないってことだよね?
恋人なのに…
情けない。
「んん…?ごめん。悩ませるつもりで言ったんじゃなくて。なんつーか、分かりにくいあいつが悪いんだから。オグのこと分かってないとか、自分を責めちゃだめだよ?ちゃんと言葉にすべきことを怠ってるオグのせいなんだよ」
一瞬凹んだ俺の心を読んだかのように、ヤマさんがそう言った。
ヤマさんがご飯をかき込みながら、器用に話す。
「気になることがあったら、りっちゃんからなんでも聞いていーんだよ。あいつ、聞かれた事にはちゃんと答えるだろ?」
「あ、…はい」
そうだ。
雅治さんは、聞いたらちゃんと答えてくれる。
ジムのことも…曖昧にされたと思ったけど…言葉が少ないだけだったと言われればそうだ。
俺が気になった時点で聞けば済む話…
「ほーんと、このままじゃ、いつかりっちゃんにも愛想尽かされそうだなー。ははっ」
ヤマさんが、雅治さんのことを心配してるっぽいのが、なんかすごく伝わってきた。
自惚れみたいになるけど…雅治さんのために、こうやって俺にも優しくしてくれてるんだよね?
こうやって、俺の相談にも乗ってくれて…
雅治さんの親友…良いな…
「信じて良いんですか?小栗さんが、ここで怪しいことはないって」
アキちゃんが念を押した。
「んー。そう思うけどね?俺は。
……いっその事、答え合わせする?」
「答え合わせ??」
ヤマさんが、グラスの水をゴクリと飲み込んでから、スマホでどこかに電話をかけ始めた。
「あー。山田でーす!お疲れ様。あのさー、もうすぐ太極拳のクラス終わるだろ?そしたらさ、小栗雅治捕まえて、俺に電話するよーに言ってくんね?…え?急ぎじゃねーから、終わってからでいーよ。…ほーい、よろしくー」
「えっ?ヤマさん⁈」
もしかして、雅治さん本人に聞くってこと⁈
「言ったろー?あいつ、聞いたことには答えてくれるから」
「いや、そう言うことじゃなくて!」
「ダイジョーブ!任せとけ!」
いやいやいや…
ヤマさんは大丈夫かもしれないけど、俺は大丈夫じゃないよ!
こんなことしてるって、雅治さんにバレたら…
面倒臭いヤツとか思われたら…
どうしよう。どうしよう。
「…恋人同士ってさー、楽しいことばかりじゃないだろ?」
お箸をパチンと置いて、ヤマさんが俺を見る。
今までより、気持ち低いトーンで、そう言われた。
「気になることがあれば、確かめなきゃ。恋人って言っても別の人間なんだから、言葉で伝えねーとさ。…じゃないと、どんどん不安が蓄積して、そっから色んなところに悪い影響及ぼすんだ。…俺はさぁ、オグとりっちゃんに、長いこと…仲良く付き合って欲しいんだよ。こんなことで、つまづいて欲しくねーの。上手いことやれる道筋、見つけよーぜ?」
ヤマさんが「なっ?」と優しく笑ってくれて…
確かに、俺、一人でモヤモヤ作りだしてた部分もあるなーって…
素直にそう反省させられた。
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