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雅治さんの友人 …3
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「ところで…あきちゃんは何でりっちゃんに付き合ってんの?」
突然話題を振られたアキちゃんが、ビックリした顔をした。
てゆーか「あきちゃん」って…
そうやってサラリとあだ名を言えるスキル、すごい。
「あー…」
と、アキちゃんは小さく呟いて、テーブルに目を落とす。
「あ、聞いちゃいけない事だった、かな?
…デリカシーなくて、ごめん」
ヤマさんが申し訳なさそうに、最後の方は小声でアキちゃんに謝った。
ってゆーか、俺も…気になってた。
意識したら悪いと思って、考えないようにしてたけど…アキちゃんって、俺の事まだ好きなのかな?
それで…こんなに良くしてくれるんだろうか。
ヤマさんも、同じようなこと考えたから「ごめん」って謝ったのかも?
「いえ…あの…」
アキちゃんがモジモジしながらテーブルを見つめつつ、小さな声でこう言った。
「二人を、応援したいんです」
ヤマさんが、アキちゃんの言葉をちゃんと拾うかのように、ほんの少し身を乗り出した。
「二人って…、その、すごい運命的な出会いじゃないですか。…あの…その…男同士、で結ばれるのって…すごく、色んな部分で…大変だと思うんです。…なのに、二人は出会って、ちゃんと結ばれて……なんてゆーか、すごく、素敵なんです。ドラマみたいっていうか。…憧れるって言うか…」
アキちゃんが、言葉を選ぶように、ゆっくりゆっくり言葉を紡いだ。
「あの、私も、二人は長く付き合って欲しいんです。何があっても、二人で乗り越えて…。そう言う…絆を…これからも見せて欲しいんです。………ご、ごめんなさい!上手く言葉に、出来なくて…変なこと言ってるかもっ……」
謝る時だけ、俺の顔を見たアキちゃんは、またすぐテーブルに視線を戻した。
「俺たち同じように二人を応援してんだな!」
ヤマさんが背を椅子に戻してそう言った。
「〜っっ!……いえ、私の場合、応援っていうか自己満足…なんだと思う、ん、です。…ごめんなさい」
アキちゃんのそんな様子を、ヤマさんはすごく優しい笑顔で見つめた。
「あきちゃんって、すごく良い子だね」
顔を上げて、ヤマさんを見たアキちゃん。
ヤマさんと目が合うと、カァッと頬を染めるのが分かった。
「アキちゃん、ありがとう。ごめんね。いつもくだらないことで迷惑かけて」
とりあえず、謝るのはアキちゃんじゃなくて、俺でしょ?と、アキちゃんに頭をさげる。
「いえ!だから…その…私が勝手に、好きでやってることなんです!」
「それでも、あきちゃんは、ちゃ〜んとりっちゃんの為になる事やってんだから!胸張っていいんじゃね?」
ヤマさんのその言葉に俺がウンウンと頷くと、アキちゃんが控えめに嬉しそうに笑って「ありがとう、ございます」って言った。
「ね、あきちゃん。俺たちで、二人のこと応援する会作っちゃう?……『応援し隊』みたいな。…ププッ!」
「…プッ!」
…え?
おうえんしたい?
なんのこっちゃ…
てか、アキちゃんも吹き出したし。
何かにツボってんじゃん?
どこが面白かったのか聞こうとした時、ヤマさんのスマホが震えた。
「お!来た来た!」
画面を見たヤマさんが、俺とアキちゃんに向かって、「シーッ」と言いながら、スマホを耳に当てた。
「…………えー。お前の大事な人を預かった。返して欲しくば、8階の奥のレストランまで来い。今すぐだ!」
ピッ。
…え?通話、切った?
「ヤマさん⁈」
「ダイジョーブ!あいつ、すぐ来るから!」
いや、だから!
そう言う問題じゃないよ!
さっきは、イイナとか思ったけど…こんなヤンチャな人が、雅治さんの親友とか…ちょっと想像つかない…ううっ。
ヤマさんは食事の残りをかき込んで
「ごちそうさまでした!」
と、満足そうに手を合わせた。
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