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答え合わせ …2
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「あの!…ごめんなさい。勝手に来て…」
とりあえず、俺からもちゃんと言わなきゃ!
「その…俺…ヤマさんが言ってくれたように、何でここに連れて来てくれないのか気になって…。前に、いつか連れて行くみたいに言ってくれたけど…でも、俺より先に松井さんがここに来てるのを知って。…そしたら、その…」
雅治さんが、何も言わずに次の言葉を待ってくれている。
「私が、誘ったんです」
「⁉︎」
「佐藤さんが悩んでる風だったので、無理矢理このことを聞き出したんです。新年会の日、お酒が入ってたからか、佐藤さん、ジムのこと話してくれて。…で、確かめに行こうって、私がそそのかしたんです。すみません。…佐藤さん、小栗さんのこと信じてないとかじゃないですよ?」
アキちゃん…
「いや…俺が。ちゃんと雅治さんにジムのこと聞かなかったのが、悪い、です。…こんな事して、ごめんなさい」
少しの間、沈黙が流れた。
「俺の方こそ、ちゃんと説明せずに…ごめん」
雅治さんが、ため息を一つ吐いた後、謝った。
「ヤマの言う通り、ここで二人を会わせたくなかったから、それで…連れてくるのを渋ってた。連れて来るなら、二人を飲みの席とかで会わせてからって思ってて。…それだけの理由…だから言わなかったけど。言わなくて、ごめん。そんなに気にしてるとは思わなかったから」
再び、沈黙…
それを破ったのは、ヤマさんだ。
「…で?松井さんって誰?今月入会して来た女の子のことか?…そう言えば、彼女、オグからの紹介ってなってたな。だけど、オグから何も聞いてないし、ただの追っかけかと思って気にしてなかったけど…」
ヤマさんが、雅治さんに冷たい目線を送った。
「ただの…職場の後輩だよ」
「職場かぁ…だから、りっちゃんもその子のこと知ってんだ。でも何で、ただの後輩が、りっちゃんより先にジムに来てんの?そりゃ、りっちゃんが気にして当然だわ」
俺の気持ちを代弁するかのようなヤマさんの言葉が有難い。
ヤマさんの押しに、雅治さんがバツの悪そうな顔をした。
「あいつに紹介なんてした覚えはない。…ジムに行ってるって話はしたことあるけど…ジムの名前は出したことない」
そっかぁ。
雅治さんが紹介…した訳じゃないんだ。
そうだよね…うん。
良かった。
「あ…」
「りっちゃん、どうした?」
「いえ…俺も、ジムの名前知らなかったけど…ネットで、場所と太極拳を条件に検索したら、すぐにここが見つかったので…松井さんも、そうなのかなー?って…」
「なるほどねぇ〜」
ヤマさんが食後のコーヒーを啜った。
「てゆーか。オグさぁ、そんな身近な子にアプローチされてて、ほっといてんの?……あぁ。オグ、面倒くさい子はとことん放置だったな」
放置?
つまり、松井さんが面倒くさい子だから、放置してるってこと?
「まぁ、あの子は今、トレーニング中の新人だから…その間に会社辞められても困るし。…特に対応に困って…結果、好きにさせてる状態だな」
好きに…
「あー。まぁ、新人に辞められちゃ困るってのは分かるけど…でも、好きにさせるってどーよ?さっきの流れからすると、その子はりっちゃんを悩ませる原因になってんだろ?な?」
ヤマさんが俺を見た。
「う……はい。…スミマセン」
「いやいや、りっちゃんを責めてんじゃないよ。…オグ、その松井さんって子のことで、りっちゃんにちゃんとフォロー入れてんの?好きにさせてて…りっちゃんが被害被ってるとかないの?」
「……」
雅治さんが、何か考えるように黙った。
…多分、俺が以前に、松井さんのことで泣きついたみたいになった事を…思い出してるんだよね?
「ふーん?何か、思い当たる節があるワケだ?…つか、本当に厄介な子なんだな。でもさー、りっちゃんが悩んでる以上、何かしなきゃだろ?」
「…それが出来たら…とっくにやってるよ」
うう…
ヤマさんの言葉は嬉しいけど、雅治さんが責められるのは…なんか複雑な気分。
こんなにオーラのない雅治さん、初めて見た。
「ホントかよ?色恋沙汰で揉めるような子なら、上司に相談しろよ。お前なら、上司も納得するだろー」
「…ん…言われてみれば…」
雅治さんが…なんか、すごく小さくなってる。
ヤマさんの言葉が、背中にズシリと乗っかってるように見えた。
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