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決起会 …3
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「ところで、その彼女ってどんな子なんですか?気になるなぁ!」
営業くんが、身を乗り出して雅治さんを見た。
「どんな…うーん」
何を言うんだろう、と、ドキドキしてしまう。
「あ、じゃあ、芸能人に例えると、誰ですか?」
その問いに、雅治さんが再び真剣な顔で唸った。
「誰…うーん…例えにくいな」
ごめんなさい。
ここで男の名前を言う訳にはいかないだろうけど、かと言って女の子になんて例えられないよね…
「あぁ、その辺のアイドルとかより、断然可愛いわよ」
河野さんが、サラリとそう言った。
えええっ⁈
何、その冗談!
超恥ずかしいんですけどっ?
って!
雅治さんも「あぁ…」とか呟かないでよ…
「えっ?可愛い系ですか?しかも、アイドル以上⁈うわーー!超気になる!写真!写真ないんですか?ってか、河野さん、会ったことあるんですか?」
「ええ。すごく可愛くてすごく良い子よ?…ふふっ!二人の時の小栗くん、皆が想像出来ないくらい、デレデレなのよ…」
河野さんが、耐えられないって感じで笑い出した。
ちょっとー!河野さん!!
俺、そろそろ顔に何か出そうだよー…
て言うか、すでに出てないか心配だよー…
「ええっ⁈可愛い上に性格も良いんですか?なんスか、それ?良いなぁ!…うわ!小栗さん、今、ニヤけましたね⁈何思い出したんですか⁈」
営業くんの言葉で、また笑いが起きる。
目の端で、松井さんが笑顔を作ろうとしながら、奥歯を噛み締めるのが見えた。
そのタイミングで店員さんが料理を持って入って来た。
「あ、追加の注文いいですか?…皆さん、飲み物は?」
うちの営業のその言葉で、結婚の話題がそこで終わりになる。
その後は全く別の話題に移っていった。
笑顔を作りすぎて、もうどんな顔をして良いか分からなくなった俺は、トイレへと立つ。
部屋を出る前に、河野さんと目が合って、ニヤっと微笑まれた。
もー!
変なこと言って、俺で遊んでたんでしょ⁈
トイレの鏡で顔が赤くなってないか確認して、「よしっ」と気合を入れてドアを開けると、雅治さんが立っていた。
「あ、お待たせしました…」
さっきの事があるから、恥ずかしくて顔がちゃんと見れない。
「佐藤くん。お酒のペース、早すぎじゃない?」
通り過ぎようとした俺に、雅治さんが声をかけてきた。
「え?…っ、そうですかね?」
確かに…気持ちが顔に出るのをごまかすために、何度もグラスを口に運んだ。
俺のこと、見てないようで、ちゃんと気にしてくれてたんだ。
「飲みたいなら、後で飲もう?」
そう言って笑って、トイレの中に消えて行った。
後で…
後で二人で飲もう…って事だよね?
嬉しい。
自然と顔がニヤける。
あー!せっかく気持ちを切り替えにトイレに来たのに。
今の俺、絶対顔が緩んでる。
案の定、テーブルに戻ると、河野さんから「あら?顔が赤いけど、酔ったの?」って言われた。
あ、河野さん、今ニヤリとした!
雅治さんもトイレに立ったの気付いてるはずだから…
何か怪しんでるのかも。
うわーーん。
「そうですか?赤いかな?酔ってるのかもしれません。はは…」
って、顔が緩むのを誤魔化すように、ビールを一気に煽った。
俺のグラスが空くと、それを見つけた営業さんからビールを注文されそうになったけど…「酔ったから」と言ってウーロン茶を注文してもらった。
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