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後で…の約束
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もう目の前だった駅ビルに入って、すぐに河野さんに御礼を言った。
「河野さん…ありがとうございました」
「え?…御礼を言うなら私の方だわ。助けてくれてありがとね」
助けてくれて…って、やっぱり、松井さんにあんなこと言うの辛かったんだよね。
「それに、これに関しては私の問題だから、佐藤さんが気にする事ないのよ?」
河野さん…
「私は二人のことをこれからも応援したいって思ってる。なんか…幸せな気分になるのよ。あなた達カップルを見ると」
河野さんは、ふふっと楽しそうに笑う。
「ところで…今日はこれから会わないの?」
「えっ?いや…そう言う約束は……」
河野さんにそう言われて、なんとなくスマホを見たら、LINEの未読がある事に気付いた。
開いてみると、雅治さんからだった。
"そんなに遅くなるつもりなはいから…良かったらこの後うちで会えない?"
「あ…」
「何か来てた?」
河野さんが嬉しそうにそう言う。
「は、い」
「ふふっ、じゃあ、ここで別れましょうか?」
「え?あの…」
「本屋に行こうって言うのはその場しのぎの嘘でしょ?私、本屋より地下に寄ってケーキ買って帰りたいの。急いで行かなきゃ、閉まっちゃうわ」
「あ…」
あぁ…もう少し何か話したい。
河野さんを今、一人にするのは忍びない。
でもだからと言って、気の利いた言葉なんて思い浮かばなかった。
「それじゃあ、お疲れ様でした!週末、ゆっくり休んでね!小栗くんによろしく」
「あ、はい。お疲れ様でした。河野さんも、ゆっくり休んでくださいね」
河野さんはニコリと微笑んで、手を振って去って行った。
俺に気を使わせないようにしてくれたんだろうか?
…まぁ、考えても仕方ない。
とりあえず、雅治さんに返事をしなきゃ。
"会いたいです"
返事は遅いだろう、と思っていたのに、雅治さんからすぐに返事がきた。
"じゃ、うちで待ってて。なるべく早く帰る"
待っててって言葉に、じんわり胸が熱くなった。
会いたいって気持ちがますます大きくなる。
なぜか今、すごく寂しい気持ちがするんだ。
会って、雅治さんの温もりを感じたい。
カバンの中のキーケースを一度握りしめてから、俺は雅治さんの家へ向かう電車を目指した。
雅治さんちに着いて、ドキドキしながら初めて鍵を使う。
「ガチャリ」と音を立ててドアが開いた時は、とても幸せな気分になった。
「おじゃましまーす」と声をかけて中に入って、とりあえずテレビをつけてソファに座る。
雅治さんの匂いがする部屋は、それだけで俺をドキドキさせた。
雅治さんに会ったら、すぐに抱きつきたいな。
…シャワー、浴びたい。
けど、さすがにお風呂は勝手に使えない。
もしもの時の為に、トイレで準備しようかな…なんて事を考えちゃう俺、我ながら恥ずかしい。
それから1時間程で、雅治さんからLINEが来た。
"今終わった。帰りにコンビニ寄るけど、お酒は何がいい?ツマミは?"
あ…後で飲もうって、言ってくれてたのを思い出した。
そう言えば、何かお酒が飲みたくなってきた。
お酒に頼って、雅治さんにいっぱい甘えたい。
"いつものコンビニ?俺も一緒に選びたいな。駅に着いたら教えて?コンビニに行きます"
そう、ウキウキしながら返事した。
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