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やっと二人きり
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手が震えていることに気付いてから、心臓がドキドキと早鐘を打ち始める。
あぁ、俺は二人のやりとりを見ながら、緊張していたんだ。
松井さん…大丈夫かな?
でも、雅治さんの対応、すごく嬉しかった。
『あいつがいれば他の女なんてこれっぽっちも興味はない』
だって。
うふふふ…
気持ちを落ち着けるように、もう一度息を吐き出したところで、スマホが震えた。
あ!雅治さんからだ!
"松井を駅まで送る。ごめんな。すぐ帰るから"
うん。いいよ。
分かってる。
雅治さん、優しい人だから…
すぐにブルル…とスマホが震えて、次のメッセージが表示された。
"シャワーでも浴びて、待ってて?"
っっ!!
雅治さん⁈
シャワーって⁈
えっ?
そういうことっ⁈
ブルル…
"なんてね、笑"
あ、なんだ…冗談か…
っっって!俺!
なんで残念に思っちゃってるの⁈
いや、うぅ……うん。
とりあえず、部屋に戻ろう。
駅まで行って帰って来るとしたら、早くて20分くらい?
どうしよう…
確かに、身体が冷えちゃったし、気持ちも落ち着けたいから、シャワー浴びたい。
震えがなかなか止まらないし…
ええい!
本当にシャワー浴びちゃうもんねっ!
最初の予定通り、雅治さんにすぐに甘えてやるんだからっ!
そう思って、俺は部屋に戻るとまずシャワールームに足を向けた。
それから…
LINEをもらってから30分後、玄関がガチャリと音を立てて開いた。
リビングにいた俺は、その音を聞いて、慌てて玄関に向かう。
「おかえりなさいっ」
「ただいま」
靴を脱いで、優しく微笑んでくれた雅治さんに、飛びついた。
雅治さんが俺を優しく抱きしめ返してくれて、身体がホッと一息つく感じがした。
さっきの…松井さんの行為を上書きしたかった。
俺、松井さんにヤキモチ妬いてたんだ。
と、その時やっと気付いた。
「シャワー、浴びたの?」
雅治さんが、さっき外で聞いたのとは違う、柔らかい声でそう聞く。
「ん…」
なんか、やる気満々みたいで、今更ながら恥ずかしくなる。
「ワイン…買ってきたけど、どうしようか?」
雅治さんがガサリとビニール袋の音を立てたのを聞いて、身体を離した。
「んー…飲みたい!」
さっきは持ってなかったから、駅からの帰り道で買ってくれたのかな?
わざわざ俺のために買ってくれたと思ったら、飲むという返事以外は思い浮かばなかった。
雅治さんがコートを脱いでいる間、ワイングラスとコルク抜きを準備する。
ソファに座った雅治さんが「おいで」と片手を伸ばした。
その手に俺の手を重ねると、グイッと引かれて雅治さんに密着するように座らされた。
ゆっくりと顔が近づいて来て…唇が重なる。
外にいたせいか、冷たい、唇…
でも、俺の心を温めるには十分だった。
「陸、あったかい」
雅治さんはそう言って、一層深く唇を合わせた。
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