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【VD番外編】小栗雅治の苦悩 1
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※VD … バレンタインデー
2月14日。
その日のイベントは、俺の中で苦手な…と言うか、面倒臭いイベント上位に入る。
自分で言うのも何だが…
毎年、腐るくらいチョコを貰う。
腐る…のはあながち冗談ではない。
俺、あまりチョコ食わないし。
なので、いつからか、もらったチョコは全て甘い物好きな姉貴に渡すようにした。
チョコ好きな姉貴は、お礼に全員分のお返しを準備してくれる。
(名前も分からないような奴の分は放置だけど)
と言うか、学生時代、お返しをしない俺を見て「女の子の気持ちにちゃんと応えなさい!」と言って、面倒くさい俺の代わりにお返しを買ってくれるようになった。
九州にいた時も、俺に人数を聞いて、頼んでもないのにダンボールで送りつけて来たくらいだ。
おかげで俺もチョコを姉貴に送らなきゃならないルーチンが出来ていたけど…
ちなみに、俺は昔から姉貴には勝てない。
ケンカになれば、こちらが根を上げるまで攻められる。
なので、無駄に争わなくていいように気をつけてるくらいだ。
「女の子には優しく!!」
これは姉貴に、小さい頃から散々言われ続けた言葉。
この呪文は今でも俺を縛り付けるくらい、威力を発している。
姉貴が送ってきたお返しは、ホワイトデーに律儀に全員に返しているし。
今年のバレンタインは、日曜日。
…と言っても、一週間くらい前から、徐々にチョコが集まってきた。
面倒くさいけど、貰うたびに外装に部署と名前をメモする。
そうしないと、誰から貰ったかいちいち覚えていられないからだ。
最近は落ち着いていたのに…と思ったが、そう言えば、本社に戻って来たばかりだった。
他部署やら、仕事で会う他の会社の人、掃除のおばちゃんまでくれる。
ま、お返しが皆同じようなハンカチだと知れば、来年から減るだろう。
あぁ。一応、お返しの中身についても、姉貴は考えてくれてるらしい。
俺としては、かさばらない荷物で助かる、ってくらいでしかないけど。
本当は「彼女からしか貰わない」と言って、全て断りたい。
今年は特に。
だけど…仕事の付き合いで貰う分にはそう言う訳にはいかない…
あぁ…面倒くせぇ。
陸から貰う分だけで良いのに…
…って、待てよ?
そうか、陸は男だから…違うか。
貰う側だ。
…ま、いいか。
柄にもなく、少し、期待してる俺もいるけど。
バレンタイン前の金曜日。
紙袋いっぱいに集まったチョコを見て、河野から「相変わらずね!」と笑われた。
河野には、陸とのことで、かなり感謝してる。
社内に味方がいると、とても心強い。
河野はどうやら、松井の事で、二宮課長や渡辺課長に本当に上手いこと言ってくれたみたいで…
ある時から、松井が遅くなった時は、俺に限らず誰かが送ることになった。
…というか、危なくなるほど、遅い時間まで残らせないようになった。
先週の飲み会で、河野や外注さん(陸)に対する態度にも、二宮課長からお咎めをもらったみたいで、今週の松井は大人しい。
その松井からも、定時後にチョコを貰った。
何か高級そうなチョコだ。
姉貴が喜びそうだな、なんて思いながら受け取った。
何か探るような目で見られた気もするけど…無視した。
申し訳ないけど…君にも姉貴が選んだハンカチしか返せないよ?
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