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【VD番外編】小栗雅治の苦悩 11
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バレンタイン当日の日曜日。
ジムに行った俺は、差し出されたチョコ全てを断った。
「持って帰ったら悲しむ彼女がいるから」
と笑って謝れば、大抵が笑ってチョコを引っ込めてくれた。
悲しそうな顔をしたヤツもいるけど、陸の悲しそうな顔と引き換えだと思えば、あまり心は痛まなかった。
俺、やれば出来るじゃん?
てか、今まで面倒くさくて、来るもの拒まずみたいにやって来た自分を反省した。
陸のために、こうしてキチンと対応しようと、この日から行動を改めるようになった。
受付でもそのやり取りをした時、たまたまヤマに見られて、笑われるかと思ったけど…
「良いんじゃねーの?そーゆーの」
と、俺を茶化しはしなかった。
その日の夜…
陸が来た時、なぜかプリプリと怒っていた。
「雅治さん、キスマーク付けすぎだから!」
と、顔を真っ赤にして、ハイネックのセーターをギュッと握った。
あぁ…そういや…付けた。
付けまくった。
どうやら昨日、大量のキスマークに気付いた陸は、首元のそれを隠す服がないため、そのまま実家に帰れず…
マフラーで首元を隠しながら、慌ててハイネックの服を買いに行ったそうだ。
そうしてプリプリしながら…
なんと、夕飯を作ってくれた。
「料理教室で習った事を披露するほど、まだ何も出来ないから」…と言いつつ、出来上がったのは、お好み焼き。
思ったより手際も見た目もよくて「美味い」と言いながら食べると「お好み焼きソースがあれば、何でも美味しいよ」と言って笑った。
きっと、他の料理もすぐにマスターするだろう。
そう言えば…うちにはまともな調理器具や調味料がない。
今度、陸と買いに行こう、そう思った。
そういうの一緒に買いに行くのって、新婚みたいじゃね?…と一人ニヤケていたら
「何考えてんの?」と、俺の顔を覗いてきた。
「いや…こうして二人で食事って良いなって」
そう言うと、嬉しそうに笑った。
「食事の途中で、こんな事も出来るし?」
と、陸の唇にチュっとキスすると
「た、食べてる時はダメでしょっ」
と、慌てた。
フッ…可愛いやつ。
食事が終わってすぐ、陸がガラスのカップに入った、茶色いものを持って来た。
「あ、あの…バレンタインだから、作ってみた。…チョコプリン。…甘いの苦手でも、これなら食べやすいかな?って」
そう言いながら、スプーンと一緒に俺の前に置いた。
「これ、陸が作ったの?」
見た目キレイなプリン。
こくりと恥ずかしそうに頷く陸にホッコリしながら、スプーンを手に取り、一口食べた。
「…美味い。いや、マジで美味い」
一気に半分くらいかき込むと、陸が嬉しそうに笑った。
「陸の分は?」
「冷蔵庫にもう一個あるけど…あれも食べてくれたら嬉しいな?」
「…ん。…じゃあ」
スプーンで一口すくって、陸の前に差し出す。
少しの間、戸惑った後、その可愛い口を開けて、そろりとスプーンを口に含んだ。
飲み込んだ後にペロリと唇を舐めるのを見て、思わずその口にキスをした。
「っ??」
「スプーンにヤキモチ妬いた」
そう言って、口にプリンを含んでから、再び陸に口付ける。
「ん、んぅ」
舌を差し出すと素直に口を開いたので、口移しでプリンを移した。
そのまま舌で陸の口内を味わってから唇を離す。
「甘い…甘くて…美味いな」
「も、もうっ!」
「もう一口、どう?」
そう聞くと、顔を真っ赤にして……頷いた。
この甘さなら、いくらでも食える。
最高のバレンタインチョコレート。
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