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二宮課長さん …3
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次の日も朝から画面とにらめっこだった。
途中、佐々木さんにも見てもらって、少しずつだけど問題を潰していった。
それにしても…松井さんや河野さんとは会うことはあるのに、雅治さんとは顔を合わせない。
何て寂しく思っていると…
「お疲れ様」
「あ!ま…小栗さん、お疲れ様です」
顔がニヤけるのを必死で堪えた。
ちょうど雅治さんのこと考えてたから、本人に会えてヤケに嬉しい。
だけど、ここは俺たち以外にも作業している人がいるので、そんな態度は表に出せない。
「どうされたんですか?」
「佐々木さんのところに来たついでに寄ってみた。…こっちはどう?」
「うーん、難しいです。河野さんや二宮さんに助けてもらってます」
「そうか…。俺も見てやりたいけど、今、別の仕事も持ってて中々時間がなくて…悪いな」
「いえっ!…また遅くまでやってるんですよね?…体調、気をつけてくださいね?」
「ん…。ありがと。それじゃあ、もう行かなきゃならないから」
「あ…」
雅治さんが、パソコンの画面を見るようにして俺の近くに顔を寄せて、小声で呟いた。
「…また明日」
「っ!…はいっ」
最後、とびきりの笑顔で…肩をポンってしてくれて、去って行った。
ううっ。
忙しい合間にわざわざ来てくれて嬉しい!
また明日…土曜日、会える。
午後も頑張ろっと!
それから…
あと少しで定時になりそうと言う時間になった時、二宮課長さんが様子を見にやって来た。
「ごめんごめん!本当はもっと早く来て、見てあげたかったんだけど、会議が長引いちゃって…」
「いえ!お忙しい中ありがとうございます」
「いや、本来なら河野を付けたいんだけど…あいつ人気者だから、他のジョブにも引っ張りだこなんだよ。…って、上司である俺のせいで忙しくなってるんだけどね?」
二宮課長さんは、申し訳なさそうにエヘヘと笑った。
「いえ…河野さんって仕事出来るんですねー。すごいです」
「そう、他部署にも人気だよ。…で、デバッグ、どこまで進んだ?今日は、残業は?」
「今終わってるのは、ここまでです。今日はこの項目までを終わらせたいと思っています。なので…少し残業したいんですけど、よろしいですか?」
「もちろん!じゃ、とりあえず見てみようか?」
そう言って、二宮課長さんは隣のマシンから椅子を持ってきて、俺の隣に腰掛けた。
それから1時間ほど、二宮課長さんは俺に付き合ってくれた。
当たり前だけど、今までは電話やメールでお伺いを立てていた修正が、隣に二宮課長さんがいるおかげでポンポンと進んでいく。
「これはこの数字に変えて」
「それ、入れ替えて問題ないよ」
「そこは本番で様子見よう」
という風に。すごくはかどった。
二宮課長さんはすごく頭の回転が速い感じで、俺はついて行くのに必死だった。
だけど、全然苦じゃない。
むしろ楽しかった。
河野さんみたいに細かく丁寧にって訳じゃないけど、決して手を抜いていない。
仕事ってこうやるんだ!っていうお手本を見ているようで、気持ちよかった。
気付いたら、予定のところまであっという間に終わってしまっていた。
「すごい。一瞬で終わりました。ありがとうございました!」
心地よい緊張で仕事をしたせいか、胸がドキドキする。
「いやいや、一瞬は言い過ぎ!て言うか、佐藤くんがちゃんとデータをまとめてくれてたおかげだよ。うん…なかなか順調だね!来週もこの調子で頼みます」
「はい!ありがとうございます!」
二宮課長さんのホワリとした笑顔につられて、俺も笑顔を返した。
「という訳で。今日は…これで終わり?」
使っていた椅子を片付けながら、二宮課長さんがそう聞いた。
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