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珍しいこと …6
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「これからどこに行くんですか?ご一緒してもいいですか?」
いつものように無視するだろう、と思いきや、今日の雅治さんは、それに反応した。
「もう帰るとこ。でも、お前らに付き合ってる暇はないよ」
雅治さん?
雅治さんのイライラオーラにも怯まずに、彼女達は話し続ける。
あぁ、目が完全にハートになってるよ…
「えっ?帰るならいいじゃないですか?一緒に遊びましょうよ〜。あ、良かったら家に行ってもいいですかっ?ねっ?きっと楽しいですよ〜!」
あー…あからさまなヤリ目的…
俺がドン引きしていると、ため息を吐いた雅治さんが足を止める。
後ろから付いてきてた女二人を振り返る…と同時に、俺の腰を抱き寄せた。
えっ⁈
急な展開に、俺はされるがまま。
「はぁ?あのさ、二人の時間を邪魔されて、俺がどう楽しいワケ?」
明らかに怒りを含んだ声でそう言うと、女二人の笑顔がピシリと固まって、目を困惑から恐怖の色に染めていくが分かった。
隣からはすごい殺気立ったものを感じる。
きっと、氷みたいな冷たい顔をしてるんだろう。
えっ?ちょっ?
人前で、どうしたのっ⁈
「これ以上、邪魔すんな」
雅治さんは、くるりと向きを変えて駐車場の方へと足を向ける。
雅治さんのそのマフィアみたいなオーラにビビって、俺は何も言えなかった。
幸い、時刻はもう23時を過ぎていて、ショップやレストランは全て閉まっているから、歩いている人はまばらだ。
しばらく歩いて、女二人が追って来ないことを確認してから、腰を抱いていた手を外された。
ため息と同時に「ごめん」と謝られる。
「ちょっと…感情的になった」
フッと、自嘲気味に笑う雅治さん。
「あ、いや…しつこそうなタイプだったし…その…ビックリしたけど」
ははっと笑って見せると、雅治さんの顔がいくらか和らいだ。
「ん…。ホントごめん」
「いいよ。…ただ、知り合いに見られてなかったら、の話だけどっ?」
そう言うと、雅治さんは大きくため息を吐いた。
「知り合いの前でも…どこでも…陸は俺のもんだって言えたらいいのに…」
「えっ?」
「いや。…あ、駐車場の精算してくる」
駐車場の入り口に着いて、雅治さんは早足に精算機に向かった。
なんだろ?
俺たちの事、人に見られてもいいってこと?
うーーん…
今日の雅治さんは、何か…いつもと違う。
疲れが溜まってるのかな?
なんて思いながら、精算を終えた雅治さんの隣について、車へ向かって歩き出した。
もう数える程しか停まっていない車の中から雅治さんの車をすぐに見つけて、二人無言のまま乗り込んだ。
車に乗ると、雅治さんがシートベルトも着けずに俺の方をじっと見てきた。
俺が首を傾げると
「いい?」
って聞いてきた。
「何を?」って口にする前に、身を乗り出してきた雅治さんから熱烈なキスをもらった。
「ん、…んん!……んぅ…ダ、メ…っ」
人に見られちゃうよっ?
「ん…ちょっと、だけ…」
それは本当に、人目を気にしていないかのような、熱いキスだった。
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