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そう言えば、ホワイトデー …1
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次の土曜日、雅治さんは言っていた通りに仕事に行った。
「仕事後にどこか食事に行こう」って誘われたけど、昨日、二宮課長さんに気持ちがバレたのをまだ引きずっていた俺は、人前で二人になるのが怖かった。
だから、俺が何か作る!って言って断った。
ちょうど先週、料理教室でチャーハンを習ったので、それにしよう。
これならプライパン一つで済むし。
それと、ワカメスープ。
夕方、必要な材料を持って、雅治さんの家へ。
合鍵で中に入って夕飯の準備をしていたら、雅治さんから"18時に帰る"って連絡があった。
たかがチャーハン…だけど、料理初心者の俺は手際が悪く、かなり時間がかかる。
とりあえずお米を炊いて、スープを作って、それからチャーハンの材料を切って…ってバタバタやってたら、気付けば18時過ぎ。
玄関がガチャリと開く音がして、慌てて玄関に駆けつけた。
「お帰りなさい!」
「ただいま。あー、なんかいいな、こう言うの」
玄関を上がった雅治さんが、俺をギュッと抱きしめた。
頬にチュとキスをして「カバン置いてくる」って言って寝室へ行く。
出張に持って行く荷物なのか、カバンを二つもぶら下げていた。
今日は休日出勤だからか、雅治さん、スーツじゃなかったけど…
これ、スーツの雅治さんにやりたいな。
エプロンの俺と、スーツの雅治さん。
なんか、新婚夫婦みたいじゃない?
うふふ…
あ、俺がまず、エプロン買わないと。
って、俺たち結婚なんて出来ないけどさ…
あー。
……ダメ。
これ、考えちゃダメ。
以前、二宮課長さんから結婚の話題が出てから、その言葉が頭にチラつくようになってしまった。
でも、考えてもどうにもならないこと。
分かってることなんだから。
考えちゃ、ダメ。
雅治さんが、結婚とかどう考えてるんだろう…とか考え始めたら、闇でしょ?
うん、とりあえず、どんなエプロン買おうかな?
エプロン…
雅治さんはどんなのが好きかな?
……。
おっと、今、フシダラなエプロンがアタマを過ぎったよ。
雅治さんは、そういうの好きじゃない。
…と、思いたい。
そんなことを考えながら、キッチンに立った。
「りーく。何作ってんの?」
雅治さんが後ろから俺の手元を覗き込む。
「ち、チャーハン!…見られたら緊張するから、テレビ見て待ってて?もうすぐ出来るから。…あ、ビール飲む?お漬物あるよ?スーパーのお惣菜だけど」
そう言いながら、ビールとグラスを取り出していると、雅治さんに後ろからギュッと抱きつかれた。
「陸…なんか、奥さんみたいだな」
ドキンと心臓が飛び跳ねた。
奥さんって…
「な、何言ってんのっ!ほら、これ持って、あっちで待っててっ?」
手に持っていたものをグイッと雅治さんに押し付けた。
「はいはい。じゃ、楽しみに待ってる」
そう笑いながら、ソファに腰掛けた。
も、もうっ!
奥さんとか…なんでそんなこと…
正直、ごっこでも、嬉しい。ケド…
ニヤける顔を引き締めながら、チャーハンを炒めるべく、コンロに火をつけた。
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