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接近 …4
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慌てる俺に対して、落ち着き払った河野さんは小さくため息を吐いた。
「二宮課長、どうされたんですか?」
「いや、時間ができたから様子を見に来ただけだよ。なに?何か楽しそうに話してたね」
二宮課長さんが、ニコッと微笑む。
えっ?
別に楽しそうにしてたつもりはないけど…
そう見えちゃったのかな?
「はい。今日の作業が予定より早く終わりそうなので、食事に誘ってたんですよ〜?」
河野さんがニッコリと笑いながらそう返した。
えっ?
そんな話じゃなかったよね?
でも、それを否定するような雰囲気ではなかったので、黙って様子を見守る。
「食事?いいなー。俺も行きたいな!」
「ダメですよー。二人で大事な話があるので、邪魔しないでくださいね?」
河野さんはニコニコしたまま、そう言った。
「えっ?そうなの?…そっか…じゃ、今回は遠慮しとこう。ははは。さて、えっと、今日の進捗は?」
二宮課長さんは、少し悲しそうな顔で笑った後、仕事の話題に変えた。
河野さんが二宮課長さんとやり取りしているのを見ながら、二宮課長さんって、やっぱり河野さんのことが好きなんじゃないかという説を頭の中で展開してしまう。
そしたら…昼の休憩室での、雅治さんボス説も納得出来る。
河野さん、雅治さんのことが好きだったし。
あー、でも二宮課長さん、他にも女の子と仲良さそうだったよね…
色んな女の子にモテたい人なのかも?
だから雅治さんに女の子を取られて悔しいとか…
うん。
それもしっくり来る…
「ね?佐藤さん、ここのデータはいつ出せる?」
河野さんから突然声をかけられて、ハッとした。
「あ、えっと、30分あれば、今日出せます!」
「じゃ、今日中にお願いします。…それを確認できたら終わりです。明日の作業に移れます」
河野さんが二宮課長さんを見た。
「ん。分かった。順調で何より。やっぱり河野は頼りになるな」
「いえ、佐藤さんたちのおかげですよ」
河野さんはそう言ってパソコンの画面に向き直った。
「そうだ。佐藤さん、先週のデータでもう一回見せてもらいたいものがあるんだけど…」
「あ、はい!どれですか?」
俺もパソコンに向き直って、データの入ったファイルを開く。
「あ〜…じゃあ、俺は佐々木さんの方も見て来るから。頑張ってね!」
「はい。お疲れ様です」
二宮課長さんを見送った後で、河野さんがため息を小さく吐いた。
「…と、いう訳で、今夜食事でもどう?話したいこともあるし」
「えっ?…話、ですか?…分かりました」
話したいこと?
さっき、言いかけた事かな?
「ふふ。良かった。あ、さっき頼んだデータ、出来たらメールで送ってね?…じゃ、また後で」
「あ、はい!ありがとうございました」
河野さんは、俺の開いたデータを見ることなく去って行った。
河野さんって二宮課長さんのことが苦手なのかな?
何か心に引っかかるものを感じながら、頼まれたデータをまとめる作業をして、河野さんに送った。
返ってきた返事の最後には、お店のHPへのリンクと「8時にお店の前で」と、書かれていた。
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