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忠告 …3
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「小栗さんの心配の種って言うのは…その、二宮さんのことなんですか?」
次に頭に浮かんだことを、河野さんに聞いた。
「ん?えぇ…そう。実はこのジョブが始まる前に、私が小栗くんに話したのよ。…念のため気をつけてね、って。だから、多少なりとも…いえ、かなり気にしてるかもしれないわね」
河野さんが、今度はフグの唐揚げを取り分けてくれた。
「そう、ですか…。あ、ありがとうございます」
差し出された唐揚げを見ながら、昼のことを思い出した。
そっか。
河野さんからこの話を聞いていたから…雅治さんは、俺と二宮課長さんが二人でいるところを見て、あんなピリッとした顔をしたんだ。
週末、二宮課長さんのことを気にしてる風だったのも、それが理由なんだろう。
「まあ、小栗くんには『二宮課長は可愛い子が好きだから』みたいな言い方しかしてないけどね」
「えっ?そうなんですか?」
それだけで、通じる⁈
うーん…
でも、雅治さんは二宮さんを意識してたし…
「ええ。男も対象ってハッキリ言ったら、確実に二宮課長を敵視すると思って。…って言うか、しそうだわ、彼なら。そうしたら仕事に支障を来たすでしょうしね」
河野さんが真面目な顔でそう呟いた。
「私も実際、二宮課長が男とどうこうって言うのを見たことある訳じゃないし、今のところ佐藤くんが危険って言う感じでもないから…あまり大事にするのも変だものね」
「そう、ですね…」
あまり構えるのも、不自然だよね?
今まで通りに接していればいいよね?
気にし過ぎたら、仕事に影響しそうだし。
「でも、本当に気をつけてね?」
「はい…分かりました」
心配顔の河野さんに、俺も真面目に頷き返した。
「あの、気にしてくれてありがとうございます」
雰囲気からして…河野さんにとっても、二宮課長さんは何か…ある人なんだと思う。
多分、言いたくないこともあるんだろうけど…それでも俺のことを気にかけてくれて、こうして話してくれた。
それが嬉しくて、笑顔を向けたら、河野さんが頬を赤くした。
「そんなお礼を言われることじゃないわよ。うちの上司が迷惑かけたら大変だから。それに、こういう事を知ってるのに、言わずに何か起きたら…気分が悪いじゃない?」
河野さんがビールを一口飲んでから、俺を見る。
「ところで、話は変わるけど…佐藤さん、何か肌ケア始めた?」
「えっ?」
突然、そんな事を言われて、何の事かと一瞬迷った。
「あー…肌ケア、ですか?ケアって言うのか分かりませんが、…最近、洗顔後に保湿してます。保湿って言うか、化粧水みたいなのを、パタパタと。…何か、変ですかね?」
たまの髭剃り(俺、あまり髭が生えないから、毎日じゃない)をした後にやってた保湿を、日々の朝と夜の洗顔後にもするようにした。
「いえ、変とかじゃないのよ?何ていうか、以前より肌ツヤが良くなったから。……あぁ、恋する乙女効果なのかしら?保湿だけでそんなにツヤツヤされたら、何か、負けた気がするというか…悔しいわね。…可愛くなる伸びしろがまだまだありそうだし…」
河野さんがジトッと俺を見た。
「こ、恋する乙女ってっ!いや、僕の方こそ…どうやったら、河野さんみたいに可愛いらしくなれるか…あっ!いや、あの、その…そうじゃなくて…」
河野さんの言葉に動揺して、思わず変な事を言ってしまった。
雅治さんと俺の関係をよく知ってる相手だから、ついポロリと…
お酒の力も加わって…
そんな俺に、河野さんが複雑そうな顔をした。
「何か…女の子と飲んでる気分になってきたわ」
そう言って、二杯目のジョッキを一気に空けた。
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