アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
結局こうなる
-
次の火曜日。
予定通り、プログラムを1つにまとめる作業を行った。
それによって、少し不具合が出てしまったけど、それも予想の範囲内だったので、特に焦ることなく問題を潰していった。
その日、遅くまで残業して疲れて帰ったら、雅治さんからLINEが入っていたのに気付いた。
作業が難航してるらしく、大変そうな様子が伝わってきた。
今週帰れるか分からないんだって。
寂しいな。
最後に"困ったことがあれば、河野を頼れ"って書いてあった。
仕事の事なのか…プライベートの事なのか…
多分、どっちも、なんだろうけど。
ちなみに、俺が昨日、河野さんと二人で飲みに行ったことは報告済み。
もしかして、ヤキモチ妬かれるかな?とも思ったけど、心配は無用だったようだ。
水曜日。
その日の昼休みも、いつものようにタバコの佐々木さんと別れて、休憩に向かおうとしていた。
と言っても、いつもの作業ルームの近くの休憩室じゃなくて、売店の近くにある簡易のベンチのところだ。
…って言うのも、あの休憩室で二宮課長さんがよく過ごしてるって聞いてから、行きづらくなってしまって。
毎日いる訳じゃないと思うけど、河野さんに「気をつけて」と言われたからには、やっぱり無駄な接触は避けたい。
そんな事を考えながら、食堂前の廊下を抜けようとした瞬間…
「お疲れ様〜」
「っ!…あ、お疲れ様ですっ」
まさかの、二宮課長さんに声をかけられた。
「今から昼食ですかっ?」
食堂へ向かっていたので、とりあえずそう聞いてみる。
「うん。会議が長引いてね…」
二宮課長さんが足を止めたので、無視する訳にもいかず、俺も足を止める。
「あのさ…」
二宮課長さんが、少し小声で話しかけてきた。
「今日、定時退社日でしょ?…良かったら、一緒に食事行かない?」
「えっ?…あの…」
「月曜日は河野と二人で行ったんでしょ?だからと言っちゃなんだけど…今日は俺に付き合ってくれないかな?…あの、前に話した恋愛相談に乗ってほしくて。…ダメかな?」
「あ…」
二宮課長さんが本当に困ったような顔をしたので、それにドキッとしてしまい、断る言葉がすぐに出てこなかった。
食事って言われたけど、お酒もきっとあるよね?
河野さんにも言われたし、ここは断るべき…
そう思ったけど、俺が口を開く前に、二宮課長さんに先手を打たれてしまった。
「あ、今日が無理なら他の日でも…。って言うか、俺にこんな相談されるのは、やっぱり迷惑かな?」
「い、いえ!そんなことは…っ」
「じゃあ…」
二宮課長さんが、顔をパアッと明るくした。
あぁ、しまった。
断れない感じになっちゃった。
と言うか、二宮課長さんの恋愛相談なんだから…
俺相手にどうこう、とかないよね?
構えなくてもいいよね?
「あ、あの…9時からすごく見たいドラマがあるので…8時まで…でもいいなら、今日、行けます」
我ながら情けない譲歩。
本当は見たいドラマなんてないけど。
でも、時間を区切れば、帰りやすいし…
「ホントっ?良かった!ありがとう!…じゃあ、お店決まったらまた連絡するね!」
二宮課長さんが、すごく嬉しそうに去っていくのを見て、それだけでちょっと良い事をしたような気分になった。
それにしても…俺に聞いてもらいたい恋愛相談ってなんだろう?
なんて考え始めたところで、会社の同期から電話がかかってきた。
内容は年度末の同期飲み会の件だったけど、他のどうでもいい話で盛り上がって気付けば昼休みが終わろうとしていた。
その電話のせいで、俺は昼休み中に、河野さんに二宮課長さんとの事を伝えるタイミングを逃してしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
406 / 559