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恋愛相談? …3
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「たださぁ、去年の夏頃、その子に変化があったんだよ。少し元気を失くしたと思ったら、急にスッキリした顔に変わったりして」
去年の夏…
俺と雅治さんが付き合い出した頃だろうか。
「で、その子の片思いの相手に、彼女が出来たって言う噂がそのうち聞こえてきてさ。あぁ、とうとう彼のことを諦めたのかも、と思った。…俺にもチャンスが来た。…そう思ったら」
いつの間にか、二宮課長さんのジョッキが空になっていた。
「佐藤くんが現れたんだよ…」
「…え?…俺、ですか?」
「そう。すっげー仲良さそうに喋るじゃん?…マジでヤキモチ妬いたからね?あぁ、あいつの事は諦めたけど、もう別の人見つけたのか…って」
そう言って…俺の肩にちょこんと頭を乗せた。
ええっ⁈ちょっ⁈
突然の行動にビックリしたけど、その直前の二宮課長さんの顔が、何だか泣きそうに見えたので、俺はそんな彼を押し退ける事が出来ず、ただ肩を貸した。
「本当に、付き合って、ないんだよね?」
ポソリと小さな声がする。
「付き合ってないです。河野さんとは、本当にただの友達と言うか何と言うか…とにかく、そんなんじゃないですから」
俺がそう言うと、二宮課長さんがゆっくりと顔を上げた。
一瞬、顔が近くなってドキリとする。
「ありがとう。…って言っても、俺が報われる事は、なさそうだけどねー」
「えっ⁈そうですかね?まだ分からないじゃないですか?」
「ううっ。河野と仲が良い佐藤くんにそう言われると、すごい嬉しい。…って、ヤベ。名前出しちゃった」
あぁ。多分、二宮課長さんなりに何かあって、口にしないようにしてたんだろう。
今まで「その子」で通してたのに。
思わず「河野」って名前が出ちゃったんだ…
そんな二宮課長さんが可愛くて、思わず「プッ」と吹き出してしまう。
「フッ、ははは」
それにつられるように、二宮課長さんも笑いだした。
「あー、恥ず。いい歳して、俺、何やってるんだろうね。…って言うか、誰にも言わないで?もちろん本人にも!お願い!ねっ?ねっ?」
二宮課長さんが必死な感じで俺の顔を覗き込む。
「もちろんです!」
その必死な姿に、何度も頷いて見せた。
本気で好きなら、応援してあげたい。
確かに、寂しがり屋で、女の子との噂が色々あるのかも知れないけど。
河野さん曰く、最近は遊んでないみたいだし…
それは、河野さんに本気だからじゃないの?
「あー、本当、佐藤くんってイイね。…何か、癒される」
二宮課長さんが、次に届いた日本酒を口にする。
「いや…そうですかね?」
「河野も、佐藤くんと仲良く話したくなる訳だよなー。…って、佐藤くんって、河野のこと、好きな奴の事とか知ってるっぽいけどさ……」
そこで、二宮課長さんが、ハタと止まった。
「もしかして…同士だから仲良くなったの?」
「えっ?」
同士?何の…?
「いや、好きな奴が同じだから…とか?ほら、分かるじゃん?あいつライバルだなぁ、とか。そーゆーの。それで仲良くなったとか?」
「……」
反応が、出来なかった。
確かに、始まりはライバルでした。
って…いやいやいや…
違う。そうじゃない。
二宮課長さんの中で、俺の好きな人は、河野さんの好きな人と同じ人。
つまり「好きな奴」が雅治さんだ、って言われたことに対して、動揺してしまった。
前にも言われたけど、その時は「気になる」程度にしか見られてなかった…ハズ。
でも、「好き」だとハッキリ言われて、俺の心臓は早鐘を打ち始めた。
「あー、ごめん。変なこと言って。そんな顔しないで?俺、本当に偏見ないから大丈夫」
「な、何言ってるんですか?僕、そんなこと…」
うまく誤魔化せば良いのに、お酒のせいか上手い言葉が全く出てこない。
二宮課長さんが、俺に少し近寄った。
「あれ?…佐藤くんって、年上の彼女がいるって言ってたよね?…河野も知ってる風だったけど。…今までは、それが河野って思ってたけど、それが違うとなると……もしかして…」
あぁ…
後に続く言葉を想像して、
頭から冷水を浴びせられたかのように、背筋が凍った。
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