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帰り道
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あああ…
ここで一緒に帰ったら、ますます二宮課長さんに怪しまれるよね?
「あ、の。河野さんは来たばかりですし、ゆっくりされてくださいっ!僕、乗りたい電車があるので…もう出なきゃいけませんので…」
そう言いながらサイフを出すと
「あぁ、お金はいいから」
と、二宮課長さんに言われた。
「今日は、俺が誘ったんだから、俺のおごり」
「いや、でも…」
「また明日も頑張ってもらわなきゃだし。な?」
こ、これは…
早く行けってこと?
それとも、ただの気づかい?
渋ってここに留まったら、怪しまれるのかな…
ここはとりあえず、大人しく帰るか。
そう思い至って、二宮課長さんに流されるまま頭を下げた。
「じゃあ…お言葉に甘えて。ありがとうございます。ごちそうさまでしたっ」
「あー。佐藤さん、いいなー」
河野さんが、楽しそうにそう言った。
「もうちょっと付き合ってくれたら、河野も奢ってやるよ」
「…え?うーん。じゃあ、あと、30分だけ」
「あっ、じゃあ!僕はこれで!」
お邪魔虫は、退散しますっ。
「一人で帰らせてごめんね?佐藤さん、また明日ね!」
「はい。失礼します!」
河野さんに何か目配せでもしようかと思ったけど、二宮課長さんに何か気付かれるかも、と思ってやめといた。
そそくさとお店を出て…
盛大にため息を吐く。
「はあぁぁぁ…疲れた…」
二宮課長さんに、ビックリするような話を聞かされて…それから…
あの時、何を言いかけたんだろう?
もしかして、俺が付き合ってる相手が、雅治さんって言おうとした?
まさか、まさか…
でも、あの話の流れだと、そう言われてもおかしくなかった。
どうしよう?
そう思われてたらどうしよう?
今度はちゃんと、違うって言わなきゃ。
最悪、俺の片思いとか、そういう風にしないと。
雅治さんにまで迷惑がかかっちゃう。
あの場は、河野さんが来てくれて助かったけど…
いや、問題が先延ばしになっただけ?
とにかく、次は逃げずに話さなきゃ。
口止めもしなきゃいけないし。
俺はギュッと拳を握りしめた。
それにしても…
河野さん、置いてきて良かったかな?
あの酔った…いや、酔ってるのかどうか分からなかったけど、二宮課長さんと二人にして、大丈夫かな?
でも、奢るって言われた時の河野さん、別に嫌そうでも何でもなかったし…
河野さんの方が、強そうだし…
まぁ、後で…連絡してみよう。
そう思って何気なくスマホを見たら、二宮課長さんと飲んでる間に、河野さんと雅治さんから着信が来ていた事に気付いた。
河野さん…俺のこと心配して、かけてくれてたのかな?
雅治さんは何の用事だろう?
早く帰って、電話しようっと。
あぁ、雅治さんの声が、無性に聞きたくなってきた。
そんな事を考えながら、帰路を急いだ。
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