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木曜日。
昼食後、河野さんと外のベンチで待ち合わせをした。
昨夜、お礼の連絡を入れたら"明日、ココで!"と、返事が来たのだ。
「早速だけど…昨日、大丈夫だった?」
ベンチに座るや否や、河野さんがそう尋ねてきた。
「えっ?はい。大丈夫でした。普通に会話して…それだけですよ?あ、昨日はわざわざありがとうございました。河野さんは大丈夫でした?」
「私のことはいいのよ。佐藤くん、本当に変なことされたり言われたりしなかった?」
「へ…変なこと?」
ギクリとする。
変なこと…じゃないけど、ビックリする事は言われた。
でも、内容は言える訳ない。
「あー…二宮さんが言ってた通り、酔っ払いの話と言うか…あ、大体は仕事の話でしたよっ?」
「それって、下ネタ聞かされたってこと?セクハラ紛いの?」
「えっ?違いますよ!そんなんじゃないです!大丈夫です!」
河野さんにブンブンと手を振ってみせる。
うわあ。
誤魔化したつもりが、ある意味、心配されるネタになってたんだ!
「本当に?」
「河野さんが心配されていたようなことは、これっぽっちもなかったです」
「うーーん…」
河野さんが渋い顔をした。
「でも…私が昨日、割り込む前…二人の距離がすごく近かったように見えたのよ。…これは、佐藤くんピンチか?って思ったんだけど…」
「そうですか?…あー、あの時はたまたま小声で話ししてたと言うか…」
確か、二宮課長さんに、俺の恋人について切り出された時だ。
二宮課長さんが俺を覗き込むように喋っていたので、自然と距離が近くなっていたかもしれない。
「小声で話すほど、変な話を…」
河野さんが、ちょっと身体を引いた。
「え?…あ!いえっ!違いますよ⁈…仕事のっ!他人に聞かせられないコアな話をしてただけでっ」
「へーぇ。そう?」
河野さんが、ジトッと俺を見た。
「とにかく、本当に大丈夫です。俺、そういう風に見られてはなさそうですし!」
河野さんが、それを聞いて大きくため息を吐いた。
「私が心配したようなことがなかったのならそれでいいけど…でも、今後も気を付けてね?小栗くんが心配するだろうから。…昨日も『佐藤くんを頼む』とか言われちゃったわよ?」
「え?小栗さんが?」
「そう。本当に二宮課長は大丈夫なのかー?って、電話かかって来たんだから」
「そう、ですか…」
「あまりにしつこいから…気になるなら、早くこっち戻ってきて自分で守んなさいって言っちゃったけど」
そう言って、河野さんは困ったように笑った。
「なんか…ご迷惑をお掛けして申し訳ないです」
「いや、私が最初に気になって、二人に話した事なんだから。私こそ…大事にしてごめんなさい?何もないに越した事はないけど…」
「ありがとうございます。心配かけないよう、気を付けます」
「うん。ごめんねぇ…うちのバカ上司が…」
河野さんの口から「バカ」なんて単語が出たもんだから、ビックリして河野さんを見た。
そのうちどちらからともなく、笑いが出てくる。
「ふふふっ!それにしても、あなた達、本当にラブラブなのねぇ…羨ましいわ」
河野さんが、ニヤニヤしながら言う。
「うっ……。あ、あの…河野さんは、その…彼氏作ろうとかは…」
ふと、二宮課長さんのことが頭に浮かんで…聞いてしまった。
「私〜?…うーん。何とも言えないわねぇ…ま、そのうちね」
そう言って、河野さんは立ち上がった。
「さーて、そろそろ戻ろうかしら。じゃ、午後も宜しくね?」
「あ!はいっ!」
ニコッという笑顔を置いて、河野さんは建物の中に入っていった。
彼氏とか、まだ作る気ないのかな?
この様子だと、二宮課長さんも大変だなぁ…
その日の夜。
俺が寝入った後に、雅治さんから"明日、帰れたら帰る"とLINEが来た。
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