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飲み会その後
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お店を出ると、渡辺課長さんが嬉しそうに「今日は佐藤くんも次に行けるらしいなっ?」と、俺の肩を叩いた。
その時、初めて、今までずっと二次会を断っていたことを申し訳なく思った。
「す、すみません。お誘い頂いていたのに、なかなかお付き合い出来ずに…」
「えっ?佐藤さん、行くのっ⁈」
渡辺課長さんの言葉を聞いた河野さんが、少し慌てたように俺を見た。
「あ…はい。せっかくなので」
河野さんを見ると、明らかに「何で?」と言う顔付き。
「河野も来るか?…そうだ。今日はカラオケにしようか?佐々木さん達も、それでいいかな?おーい!松井も、カラオケ行くか?」
渡辺課長さんが、機嫌良さそうにそう言う。
「はい!行きますぅ!」
「よし!じゃあ、皆でいつもんトコだ!」
そう言って、渡辺課長さんが笑いながら歩き出したので、皆でゾロゾロとついて行く。
河野さんも「仕方ないなぁ」とポソリとつぶやいて、俺の隣を歩き出した。
…良かった。
女の子のいる店よりはマシだ。
二宮課長さんは…どうするつもりだろう?
カラオケだと、変な話はしないよね?
店からほんの少し離れたところで、松井さんが突然「あっ!」と声を上げた。
「どうした?」
「あ、すみません。ハンカチが見当たらないので…もしかしたらさっきのお店に忘れたのかも」
「お?そっか。まだ間に合うぞ?行ってこいよ」
「いえ…でも皆さんを待たせるの悪いので…私、いつものカラオケが、どこか分かりませんし…」
松井さんがそう言うと
「私が待ってるから、行ってらっしゃい?」
河野さんがそう声をかけた。
「えっ?」
「ほら、いいから行ってらっしゃい?…渡辺課長、あのコンビニの横のカラオケですよね?」
「そうそう!じゃ、河野、よろしくな!」
「あ…河野さん、すみません。すぐ!戻って来ますから!」
「慌てなくていいわよ」
河野さんと松井さんはお店の方へと戻って行く。
それを見ながら、俺たちはまた歩き出した。
俺の前では、渡辺課長と佐々木さんがどんな歌を歌うか話しながら歩いている。
俺の横に、自然と二宮課長さんが来た。
「カラオケだと、何も話せないね」
「そう…ですね」
「ははっ!ごめん。佐藤くんは俺の恋愛トークなんかに付き合いたくないよね?…俺、女々しくてごめん」
「いえっ…そんな」
あ、恋愛トークってことは、聞きたいことは二宮課長さんの恋愛についてってこと?
「佐藤くんて、本当に優しいね」
二宮課長さんがそう言って…仕事中には見せないような…優しい目で、俺の事を見た。
あ、れ?
俺の勘違いなら良いけど…
今の何か、嫌な視線。
それから5分も歩かないうちに、あるカラオケの前に着いた。
店に入ろうとした時、二宮課長さんが俺の肩をグイッと引き寄せる。
「渡辺さーん、僕たちさっきの店で食べ足りなかったんで、その辺でラーメン食べてから戻って来ます」
えっ?
「おー。そっか!じゃ、先入ってるぞ?」
「はーい。…じゃ、佐藤くん、行こう!」
二宮課長さんが楽しそうに俺の肩を引き寄せるので、俺はうんともすんとも言えない状況で引きずられて行った。
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