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その結末 …1
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思い焦がれた人の登場に、思わずその身体にしがみつきたくなった。
でも、二宮課長さんの手前、それはダメだと踏み止まる。
なんで雅治さんがこんなところに?っていう疑問と、安堵が、半々で訪れた。
二宮課長さんは、びっくりして声が出ないのか、雅治さんをただ見上げている。
そういう俺も、氷のような雅治さんの表情に気付いて…
その場に立ち尽くしてしまった。
怖い。
こんな雅治さん、知らない。
「二宮課長…何を、していたんですか?」
最初に口を開いたのは、雅治さんだった。
明らかに、怒りを含んだ冷たいその声は、それを向けられている訳じゃない俺でさえ、背筋が冷えた。
二宮課長さんも、俺も、何も言えない。
「彼に、何をしたんですか?」
雅治さんが、再び口を開く。
二宮課長さんが、ジッと雅治さんの目を見た。
「あ…あのっ!何も、何もされてませんから!」
慌てて、二人の間に入る。
だって、この状況!
俺のために、雅治さんが上司にケンカ売るなんて!
それに、二宮課長さんから見たら、雅治さんと俺が特別な関係って、バレちゃうよね?
普通なら、こんな状況見ても、部下が上司をこんなに怒ることないし!
困る!
俺のせいで、会社での雅治さんの立場が悪くなったら嫌だ!
「落ち着いてください!何もされてないですし、本当に大丈夫ですからっ!」
あわあわと、どうしていいか分からない手を二人の間で彷徨わせる。
完全に混乱している俺を他所に、二宮課長さんを睨み続ける雅治さんと、その様子を観察するかのような二宮課長さん。
「あぁ……そういうことか…」
やがて、何かを悟ったかのように、二宮課長さんがそう言った。
雅治さんが、眉間にシワを寄せる。
あああっ…
何この状況!!
もうダメだ!
何がダメか分かんないけど…もうダメだ!
どうしようっ!!
…と、思った時だった。
「きゃっ!」
と、先ほどの路地から声が聞こえた。
雅治さん越しに路地を見ると、そこに松井さんが口に手を当てて立っていた。
ま、松井さん⁈
なんでここにっ⁈
松井さんの様子は、俺と同じくらい慌てた様子。
「あっ、あのっ!ごめんなさい!覗き見とかっ、お邪魔するつもりはなかったんですぅ!小栗さんを追いかけたら、たまたま…偶然っ!あ、あのっ、言いません!誰にも言いませんからっっ!失礼しますぅぅ!」
そう言って、パタパタと、走り去って行った。
な…何、今の?
ボーゼンとしていると、二宮課長さんがクッと笑った。
「勘違いされたみたいだね?俺たちの事」
そう言って、雅治さんを見た。
勘違い?
勘違い…
あぁ!
確かに、この二人の状況…
表情が分からなければ、雅治さんが二宮課長さんを壁ドンしている様に見えなくもない。
雅治さんが、短く息をフッと吐いて、二宮課長さんを押さえつけていた手をゆっくり外した。
相変わらず、目は怖いまま。
あぁ、どうしよう。どうしよう。
雅治さんにあんな状況を見られたのなら…俺も何か疑われているのかもしれない。
そう思うと、さらに怖くなってきた。
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