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決着? …5
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「俺は…どうすべきなのか。……ごめん。俺自身の事なのに、どうしていいか……」
二宮課長さんらしくない。
今回のことで、本当に色々悩んだんだろうなぁ…なんて、目の下にクマを見つけて、そう思った。
眠れていないのかもしれない。
そんな状態で出した答えが「彼女から離れる」だったのか…
再び、沈黙が訪れる。
確かに…
二宮課長さんの言うことは、分からなくもない。
好きだけど、手に入らなくて…
辛くて自分が壊れてしまいそうな。
そんな、恋。
手に入らない辛さは分かる。
諦めようと思っても、近くにいたら諦められないのも分かる。
俺も似たような想いを、雅治さんの時に感じたんだから。
そして…
今回の沈黙を破ったのも雅治さんだった。
「その…女には、振られたんですか?」
雅治さん⁈直球すぎる!
そう言えば…雅治さんには、二宮課長さんの恋の相手が河野さんって…言ってなかった!よね?
あああ…
「え?…っと……いや、想いは告げてない。彼女には他に、好きな奴が、ずっと…いて」
二宮課長さんが微妙な顔をした。
…そりゃそうだ。
相手は他でもない、目の前の雅治さんなんだから。
「じゃあ、 まずは告白するところからじゃないですかねぇ?」
「え?」
雅治さんのアドバイス?に、俺もビックリする。
「思い切り振られればいんじゃないですか?」
あ、そう言うこと…
「っ。それは…」
二宮課長さんが辛そうな顔をした。
あぁ、一見アドバイスっぽいけど、雅治さんのその顔からは何の感情も読めなかった。
たぶん、嫌味…なのだろう。
でも、俺の頭の中に、何か浮かんだ気がした。
モヤモヤを解決する光みたいな。
…あぁ、そうだ。これだ。
「小栗さんの言う通りです!…告白したらどうですか?」
二宮課長さんに詰め寄るようにして言った。
「えっ?いや、あの…」
何言ってんの⁈みたいな顔をされたけど、とりあえず無視する。
「辞めるつもりなら出来るはずです。…いえ、むしろ辞めるなら、その前に必ず言ってください。それなら、まだ許せます。…ってゆーか、辞めずに部署異動とかは出来ないんですか?それならまだ俺も納得できます」
「っ。そ、れ…はっ」
二宮課長さんの顔が、困り顔に変わった。
そうだ。
告白して、想いをぶつけて…それで辞めるって言うなら、俺も気分的に楽だ。
辞めるのは俺のせいじゃない…って思えるから。
確かに…河野さんにも半分責任を押し付ける感じになる。
自分でも、酷い考えだとは思うけど…今はこれ以上考えられなかった。
「あの…言ってなかったけど…実は…もう、辞めたい意思を、上司には伝えてある」
「「え?」」
突然の俺も雅治さんも、驚いてしまう。
まさか、もう行動を起こしていたなんて。
「ただ…立場上、すんなり辞めれそうにはなくて…。伝えたと言っても、口頭だけの話だし。偉そうに『辞める』とか言っておきながら、いつ辞められるか…それどころか、辞めさせてくれるか分からないんだけどね…」
二宮課長さんが、目線を下げた。
「じゃ、決まりだ。すぐにでも告白できますね」
雅治さん?
「それで、佐藤君も納得。二宮課長もスッキリ辞められる。…で、いいですよね?」
雅治さんが、冷めているであろうコーヒーをグイッと飲む。
カップをお皿に戻す時に、少々荒く「カシャン」と音を立てた。
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