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ご対面 …2
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ふと以前、雅治さんちにお姉さんが押しかけて来た時、声だけ聞いたのを思い出した。
あの時も、すごくパワフルな感じだったなぁ…
実際に会ってみると、オーラと相まって、何だか只者じゃない感がすごい。
「紹介する。…こっちは、佐藤 陸くん。…こっちは姉の篠崎 遥香(しのざきはるか)。結婚してるから、名字が違うけど」
「初めまして、佐藤 陸です」
「初めましてー。雅治の姉の遥香です。…って、雅くーん!何?こんな可愛い子とどこで知り合ったのよー?んんー?」
「ほっとけ…」
雅治さんが、水をグイッと飲んだ。
あぁ、やっぱり緊張してるんだな…と思った。
「で?今日、何か話があるのよね?こんなところまで呼び出してさ」
「ん…」
雅治さんの緊張が、こっちにも伝わってくる。
「え?何?んー、じゃ分からないわよ?男ならハッキリ喋りなさいな」
お姉さん…遥香さんが、腕組みして雅治さんを見た。
雅治さんにこんな強そうな態度を取る人を初めて見たよ。
やっぱり、お姉さん、強し…
「何か…相談?ってゆーか、私に言いにくい事?…まぁ…とりあえず最後まで口を挟まずに聞いてあげるわよ?……多分ね」
その後は、雅治さんが口を開くまで、遥香さんは何も言わなかった。
その間、俺たちが頼んでいたコーヒーと、お姉さんの注文したサンドイッチのランチセットが届いた。
テーブルを見つめる雅治さんと、その様子を見つめる遥香さん。
店員さんは、居心地悪そうに「ごゆっくり…」と言って、そそくさと去って行った。
「実は……俺、今、この人と付き合ってる」
雅治さんが、やっとの事で、そう言った。
「え?」
固まった…と思った遥香さんが、頭をフルフルと振りながら大きなため息を吐く。
思わずピクリと身体が跳ねた。
怒ってるのか…呆れているのか…
遥香さんの心情は見た目からは分からない。
とりあえず、良い反応ではなさそうだ。
「…それで?」
「いや…それでって言われても…」
「そんなの、わざわざ私に言う必要ある?今まで通り、好きに付き合えばいいじゃない。…何?男だからダメだとか言われて、別れさせて欲しいわけ?」
雅治さんのやっとの告白を聞いたにも関わらず、遥香さんが淡々とそう言った。
「ちがう!そうじゃない」
「じゃ…なに?」
遥香さんは雅治さんを一瞥して、優雅にコーヒーを啜った。
そうだよね。
それまでノーマルだった弟に突然「男と付き合ってる」って言われても…ピンと来ないよね。
冗談だと思うよね。
雅治さんが、意を決したように小さく息を吐く。
「俺は、この人と一生過ごしたいと思っている」
「……」
遥香さんの眉がピクリと動いた。
「つまり、俺はこの先、他の女と結婚するつもりはない」
遥香さんに向けている言葉なのに、なぜか俺が告白されている様な気分になってきた。
雅治さんのその「告白」に、胸が熱くなる。
「それを…父さん達に言う前に、姉貴に言おう、と思って」
そこまで言って口を閉じた雅治さんを見ながら、遥香さんが再びため息を吐いた。
「そういや…あんた正月に、お母さんから見合いの話をされてたわよね?そろそろ結婚しなさいって…」
え⁈
そんな話があったの⁈
チラリと雅治さんを見たけど、雅治さんの顔からは何も読み取れなかった。
「で?…見合いが嫌だから、……男が好きだって事で逃げようとしてるワケ?」
「だから、違うって」
「だ、か、ら、何が?見合いが嫌なら自分で断りなさいよ?…私にあんな物頼んだって事は、本命がいるんでしょうけど。…本命がいるなら、それはそれでお母さんに正直に言えば良い話じゃない?」
遥香さんが、持っていたフォークを雅治さんに突きつけた。
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