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二人一緒 …2
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雅治さん、大丈夫かな?
確かに…その理由は嬉しかったけど…
でも、どうして突然こんな事をしようと思ったのだろうか?
なんて思っているうちに、とうとう俺たちの順番になった。
しかも…一番前の席になってしまった。
雅治さんは、さっきから何も話さない。
「ね?やめる?…今なら間に合うよ?」
コソッとそう声をかけたけど、雅治さんは首を横に振るだけだった。
二人でジェットコースターに乗り込む。
雅治さんの様子が気になるけど、本人がこんなにも頑張ってるんだから、あまり心配するのも悪いし…なかなか声をかけられない。
そうこうしていると、ジェットコースターが動き出した。
「陸…」
動き出してすぐ雅治さんがそう呼んだ気がしたので、雅治さんの方を見たら、雅治さんがこっちに向かって手を差し出していた。
やっぱり…怖いのかな?
事故のこと、思い出してるのかな?
そう思いながら、雅治さんに手を差し出した。
触れるか触れないかのうちに、雅治さんがギュッと俺の手を握った。
ああ…
怖がっている雅治さんには悪いけど…
雅治さんが、可愛い。
いつも守られている立場の俺が、今日は雅治さんのことを守ってるみたいだ。
手を繋いであげるだけなんて、とても些細なことだけど。
俺も、雅治さんの支えになれるのかな?って思えた。
ガタガタガタ…と音を立てながら、ジェットコースターがレールを登っていく。
「どこでも一緒」
え?
突然、雅治さんがそんなことを言った。
雅治さんの方を見ると、雅治さんは前を向いたまま。
「こんな事、怖がってるんじゃ、ダメだと思った」
やっぱり緊張しているのか、喋り方がカタコトだ。
ジェットコースターは、あと少しで頂上だ。
「大事なこと、伝える前に…ちゃんと克服したかった」
雅治さんが、顔をキリリとさせた。
うわぁ。
ついさっきまで、俺が雅治さんの手を握ってあげてる立場だったはずなのに。
雅治さんのその顔だけを見たら、まるで俺が手を繋いでもらっているようだ。
ガタン、と、先頭が頂上にたどり着く。
「ぅわ!…すげー景色…」
雅治さんがそう呟いたので、俺も目線を前に移す。
そこには、目の前一面真っ青な空と海が広がっていた。
前回は曇りだったけど、今日は陽の光を浴びて波がキラキラと揺れている。
「キレイ…」
思わずそう呟いた瞬間、今度は目の前に急降下のレールが映って…
ジェットコースターは一気に急降下した。
顔に強い風を感じながら、俺は不思議なドキドキを感じていた。
俺、雅治さんと手を繋いでる。
こんなところで、雅治さんと。
不意に、去年三人でここに来た時のことが走馬灯のように蘇った。
辛くて苦しくて…雅治さんとの事でかなり悩んでいたあの日。
あの時はまさかこんな日が来るなんて、1ミリも想像していなかった。
それが、今こうして、雅治さんと手を繋いでジェットコースターに乗ってるなんて。
さっき、遥香さんからお見合いのワードが出た時、もしかしたら、俺たちはいつか別れるのかもしれないって思った。
俺たちの未来って、何だろうって思った。
でも、今こうしてここに二人でいる事実が、この先もずっとこうして手を繋いでいられるような未来への一歩なのかもしれない。
そんな風にポジティブに考える事が出来た。
目の端で波がキラキラと輝くように、俺の心の中でキラキラと何かが光っていた。
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