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手のひらから始まる …3
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これは…プロポーズ?
まさか、俺が雅治さんからそんな事を言われる日が訪れるなんて、思ってもみなかった。
男の俺が。
俺の手を取る雅治さんの手に、少し力がこもる。
涙で、雅治さんの表情がよく分からない。
でも、雅治さんが俺を見て返事を待っているのは分かる。
俺の返事は…
決まってる。
迷わず、俺は必死で頷いた。
結婚…出来るならしたい。
俺、雅治さんと、一緒になりたいよ。
そう、声にならない声を伝えるように何度も頷くと、雅治さんが俺をギュッと抱きしめてくれた。
「ありがとう。…一生、大事にする」
「…っ、うっ」
そう言った雅治さんの声が、とても優しく心に響いて、嗚咽が漏れるほど涙が溢れた。
結婚。
雅治さんと。
一生って…本当に一生?
結婚。
結婚だって。
これが夢じゃないか確認するように、顔を上げて雅治さんの目を見た。
優しく揺れる雅治さんの目。
そして…
その唇に触れたいと思った時…
閉館を案内するアナウンスが流れ始めた。
「「!!」」
お互い、ハッとなって、身体を離す。
慌てて周りを見たけど…大丈夫。
誰もいなかった。
うん…途中から、二人の世界に入ってしまったけど…
誰にも見られてないことを祈る。
とりあえず、雅治さんと目を合わせて照れ笑いをした後、涙をゴシゴシ拭っていると、カップルが一組入ってきた。
雅治さんと目配せして、とりあえずそこから離れることにした。
下を向いて、誰にも顔を見られないようにして、足早にイルカミュージアムを出る。
外に出てしばらく歩くと、自然と笑いが込み上げてきた。
「ふふっ」
何で可笑しいのか分からない。
いや……可笑しいんじゃない。
嬉しくて、笑いが込み上げるんだ。
嬉しさとか、照れとか、…色々幸せで…
笑顔を通り越して、声が漏れ出るくらいの笑いが出た。
「なに?どうした?」
なんて聞いてきた雅治さんの声も、今にも笑い出しそうな声に聞こえて…
「なんでもなーーい!」
なんて言いながら、雅治さんにトンっと肩をぶつけた。
もちろん外だから、ほんの一瞬で身体を離す。
すっごく抱き着きたいし、もっと触れたいけど、今はこれで我慢。
「陸」
その声に雅治さんの方を見ると、雅治さんが俺に向かって手を差し出している。
「車まで…走ろうか?」
えっ!!
なにそれ?
手をつないで走るってこと?!
そんな恥ずかしいこと、出来るわけないじゃん!
どんなドラマだよ!
…って、心の中ではすごいウケたけど…
俺は素直にその手を取ることにした。
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