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【番外編】岡本賢治の葛藤 …5
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婚約指輪の代わりって⁉︎
つーか、婚約指輪って!
それって、プロポーズの後に女がもらうやつなんじゃないの?
プロポーズ…
えっ⁈プロポーズ⁈⁈
「岡本くん、顔芸面白すぎ!で、なに?佐藤くんはプロポーズでもされたの?」
マスターがニヤニヤしながらそう言った。
マスターー!直球!!
さとちんを見ると、さとちんが小さくコクンと頷いた。
「えっ?えっ?なにそれ?結婚?誰と?」
混乱している俺はこんな言葉しか口から出てこなかった。
「…いや、だから…」
さとちんが困った顔をする。
「いや、だって!結婚って…出来ないでしょ?男同士じゃ」
「ちょ、岡本くん、ストップ。声大きい」
マスターが、小さいけどドスの利いた声で俺を止めた。
「あ…ゴメン…なさい」
マスターの顔を見て、言っちゃいけなかったことを言ってしまった気がして、頭を下げた。
一瞬、その場が変な空気になる。
「その…もちろん、分かってるよ」
その空気を破ったのはさとちんだった。
「理解してもらえないかも知れないけど…でも、結婚の約束をしたんだ。…オカには、いつか話したかったから…今日言えて良かった」
さとちんはそう言って、俺を見てニコッと微笑んだ。
さとちん…
「佐藤くん、おめでとう!そっかぁ、二人ともめでたいのか!」
マスターはそう言って、ニコニコと笑った。
それからマスターは他のお客さんに呼ばれて、俺たちの前から去っていった。
めでたい?
…そう、なのか…俺にはイマイチ分からない。
「結婚…て、どうするの?」
同性だと結婚出来ないのに…と、疑問をそのまま口にする。
「うん。説明するの難しいけど…未来の話?」
「未来?」
「そう。…いつか日本で、同性婚が認められた時、結婚しようって」
「いつか…って…いつになるか分からないのに?約束したのか?もしかしたら、そんなの認められる日なんて来ないかも知れないのに?」
俺がそう言うと、さとちんは一瞬悲しそうな顔をした。
しまった、と思ったけど、口から出たもんはもう戻せない。
「そうだね…もしかしたら、結婚出来ないかも知れないけど…でも、その…ちゃんと二人で考えた事だから」
「そっか…」
なんか、さとちんの顔を見ていたら、自分が悪者になって来た気がした。
いじめてるつもりは無いけど、どうも…俺、素直になれないっつーか…
言葉にトゲが出てしまう。
グラスの氷がカランと音を立てた。
「そういや…マスターに用事って何だったの?もう済んだ?」
「あ、実は小栗さんに迎えに来てもらう事になってて…皆とここで別れるために嘘ついた。ごめん」
「あー、なるほどね。もうすぐ来るの?」
「うん。…多分…あと10分くらい、かな?」
さとちんが時計に目を落とす。
小栗さんが迎えに来ると聞いて、何だか寂しい気持ちになった。
何だろ。
「俺さー、前にオカ達といる時に変なのに絡まれたでしょ?あれから小栗さん、過保護みたいになっちゃって…。遅くなるときはこうやって迎えに来てくれるんだ」
「あー、あれね。ま、確かに、あんな場面見たら心配になるわな」
「でも俺、男なんだからさ、あんな事そうそうないのにね。ちょっと過保護過ぎて困る時あるよ」
口では、困る、みたいなこと言ってるけど、顔はちょっと嬉しそう。
相思相愛…
そんな言葉がふと浮かんだ。
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