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【番外編】岡本賢治の葛藤 …9
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「小栗さんは、どういうつもりで、プロポーズしたんスか?」
「えっ?オカ!なに言ってんの?」
「…何でそんなこと聞くの?」
小栗さんが、至極真っ当な疑問を口にした。
「単純に、興味があるからです」
「あぁ。そう。…うーん。そうだな。人に言うのは恥ずかしいけど…」
小栗さんが、何か考えるように言葉を止めた。
「簡単に言うと、一生一緒にいたいと思ったからだよ」
一生一緒に…
「でも、今は同性同士じゃ結婚出来ないじゃないですか?」
「…うん。そうだね。…でも、何だろう。オカくんは何で彼女との結婚を決めたの?」
「え?」
逆に質問を返されて返答に困った。
そんな時、頭に浮かんだのは…
「そうですね。彼女と、これからも一緒にいたいと思ったから…ですかね」
小栗さんが言った事と同じこと。
「あとは…彼女とこれからの人生を共に過ごしたら楽しいだろうな、って思って。…それに、彼女以外、考えられなかったから」
同じだ。
きっと小栗さんも同じだ。
何のおかしなところもない。
その相手が、さとちんだっただけだ。
たまたま同性で…それだけで運悪く結婚出来ないだけだ。
「うん。オカくん、俺たちも同じだよ。…戸籍上夫婦にはなれないけど、でも、一生を添い遂げたいと思ってるよ」
迷いなくそう言った小栗さんは、本当にカッコ良かった。
あぁ、この人ならさとちんを守ってくれる、大切にしてくれる。
なんとなく、そう思った。
俺は、二人をこれからもずっと見守りたい。
いつか、結婚できる日が来たら、すぐそばで祝ってあげたい。
そうだ。
世間の目が何だ!
俺は、さとちんを応援する。
それが友達としての俺の役目だろ!!
「さとちん!小栗さん!婚約、おめでとう!」
「えっ?オカ、何?急にどうしたの?」
さとちんが驚いた顔で俺を見る。
「俺、何があってもさとちんの味方だから!」
「えっ?うん。オカ…。うん、ありがとう」
さとちんが嬉しそうに笑った。
「もし、結婚式する時が来たら、絶対呼べよ?絶対出席するからな!」
「えー?いつになるか分からないよー?それに式挙げるか分かんないし…」
「日本が無理なら海外とかで挙げりゃいーじゃん?俺、どこでも行くから。何年先になっても、俺、行くからな!…さっき、ちゃんと祝えなくてごめん。でも、これが本音だから!」
「オカ…」
さとちんが、俺の名をポツリと呼んだあと、前を向いて黙ってしまった。
「ありがとう」
さとちんの言葉を代弁するかのように、小栗さんがそう言った。
さとちんから「ズッ」と鼻を啜るような音が聞こえる。
そうだ。
二人の未来が簡単には行かない事を一番分かってるのは、他でもない本人達だ。
辛いのも、苦しいのも、ちゃんと分かって…
それでも二人で生きてく未来を選んだんだ。
俺は、精一杯、二人の幸せを応援しよう。
出来る事なら、二人を守ろう。
俺にできる事は微々たる事かも知れないけど。
さとちんの親友として、俺はさとちんを支えるんだ。
「さとちん、幸せになれよ?…小栗さん、さとちんの事、ちゃんと守ってやってくださいよ?」
「もちろん」
「俺、友達として…二人のこと応援するからな」
「オカ……ありがと」
うん、そうだ。
俺たちは一生、友達だし!
俺、さとちんが大好きだもんね!!
岡本賢治の葛藤 …end.
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