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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …2
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実は…佐藤さんと一緒に見学に行ったスポーツジムに、たまに通っている。
たまに、って言うのは、チケットを使って、行きたい時だけ行くスタイルを取っているから。
暇な時とか、身体を動かしたくなった時、ヒョイと立ち寄って好きなことして汗かいて、シャワー浴びてサッパリして帰る。
そんな感じ。
チケットは、店長の山田さんが「友達割引の回数券あるよ!」とオススメしてくれたものだ。
(どうやら私を友達としてくれるらしい)
かなりお得だったし、好きな時に行けるってのが魅力的で購入した。
最初は流されるままに買ったけど、結構気に入って、二度目の回数券を購入してしまったところ。
5月のある日。
その日もふらりとジムへ立ち寄って、受付でたまたま山田さんと会った。
「あ!あきちゃん!来てくれるの待ってたよ〜。あのさ、ちょっと相談したいことがあるんだけど…帰り、時間あるかな?」
「え?」
普段は店員さんとしてしか接して来ない山田さんが、ちょっとフレンドリーに話しかけてきた。
「オグとりっちゃんの事なんだけど…」
「えっ?あ、はい。いいです…けど」
ちょっと身構えたけど、あの二人のことなら気になるじゃないか。
ただ、帰りは簡単メイクだから恥ずかしいけど。
「本当?良かった。じゃ、あとで」
山田さんは忙しいのか、すぐに去って行った。
おーい。
帰る時、どうやって声かけりゃいいのよ?
…なんて思いつつ、今日は何しようかなーとロッカールームに向かう。
ちなみに…
私は山田さんがちょっと苦手だ。
嫌いという訳ではない。
好きか嫌いかで言えば、好きだ。
山田さんは、何を考えてるか分かり辛いのだ。
私の特技の観察力を総動員しても、本心が分からなくて…怖い。
いつもニコニコしてるし、いつもテンションが変わらない。
仕事の時の山田さんと、小栗さんといた時の山田さんは、だいぶ雰囲気が違って、どっちが"素"なのか分からない。
いや多分、小栗さんといた時の方が素なんだろうけど。
ま、別にこれ以上仲良くなろうと言うわけじゃないし、そこまで気にする必要はない…か。
時間いっぱい汗をかいてシャワーでサッパリした後、受付に戻ると、私を待っていたかのように山田さんが待機していた。
「おー。あきちゃん!お疲れ様!…じゃあ、いいかな?」
受付で終了の手続きをして、山田さんについて受付横のテーブルに腰掛けた。
「で、早速なんだけど…」
「はい」
「来月、りっちゃんの誕生日らしいんけどさ、俺、プレゼントを用意しようと思ってるんだよね」
「あ、そうですね。来月誕生日ですね」
言った後に、しまった、と思った。
山田さんが、ほんの一瞬だけど止まった気がしたから。
ただの同僚の関係なら、誕生日なんて把握してないかもしれない。
…まぁ、いいか。
「でさ、俺、遊園地のフリーパス券を二人分あげようと思ってるんだよね」
「へぇ!良いですね」
おぉ。
山田さん、プレゼントも山田さんらしい。
「たださ、いい歳の男が二人で遊園地ってさ…行くと思う?ってか、あの二人が行って、無事にデート出来ると思う?」
「あー」
想像してみる。
…まず、男二人で遊園地は…なかなか見ない。
高校生とかならまだしも。
しかも、あのルックスの二人…
かなり好奇の目で見られるか、もしくは逆ナンされっぱなしだろう。
「確かに、ちょっと想像しにくいですね」
「でしょ?そこで、あきちゃんの登場なのよ!」
山田さんが嬉しそうに人差し指を立てた。
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