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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …11
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「はぁぁ…かなり楽しかったです〜」
レストランを出て歩き始めても、先ほどの興奮がなかなか抜けなかった。
ショーはかなり楽しかった。
その上、同じテーブルに座っている人達が、急に特別なものに思えてきてしまったから。
夕食の後は、パレードの場所取りへと向かう。
パレードが始まるまであと1時間半ほどあるけど、すでに場所取りは始まっていた。
この遊園地に来たら、必ず見たいパレードだ。
佐藤さんと山田さんで場所を決めて、佐藤さんと小栗さんが腰を下ろした後ろに私と山田さんが座った。
交代でお土産を見に行ったりトイレに行ったりしていたら、あっと言う間にパレードの始まる時間になった。
と言うか、待ち時間ですら楽しかった。
もう、このメンバーでこんな楽しいことないんだろうなと思ったら、寂しくもなってきた。
最初はどうなる事かと思った集まりだったけど、佐藤さんはもちろん優しいし、山田さんのエスコートはなんだか私がお姫様になったような気にさせてくれるし、小栗さんはクールながらも私のことちゃんと気にしてくれたりした。
本当に贅沢な時間だった。
「あ!」
佐藤さんが、楽しそうに声を上げたと同時に、パレードの音楽が聞こえてきた。
「わぁ…」
すでに日が落ちた中、まさに夢の国のようなパレードがキラキラと魔法のような光りをまとって進んでいく。
幻想的で、胸が高鳴る。
「あぁ…」
不意に山田さんが、不思議な声を漏らした。
なんとも言えない驚きのような、感嘆のような。
それが妙に気になって山田さんを見ると、それに気付いた山田さんは何でもなかったかのように「ん?」と笑って私を見た。
「いえっ」と目線をパレードに向けたけど、私は気になって仕方なかった。
山田さんは、私を見る前に前の二人のことを見てたから。
目線が下がってたから、パレードを見てたんじゃない。
気になって、私も目線を下げる。
「!」
そこで目にしたのは…佐藤さんの手の上に少しだけ重ねられた小栗さんの手。
小指と薬指が触れ合ってるだけで…手をつないでいる訳じゃないのに、手をつないでいるくらいの衝撃を受けた。
今日…というか、初めて見た!
二人のカップルとしての距離!
今日一日、一緒にいたけど、二人がイチャつくところなんて一度も見なかった。
歩く距離ですら友達の位置をキープしてたから。
その二人が、こうして隠すように触れ合っているのを見て、妙にドキドキしてしまう。
パレードを見ながら、佐藤さんが小栗さんに何か言った。
小栗さんが佐藤さんの耳元に何か返事を返す。
二人で一瞬見つめ合って…微笑んだ。
キャーーー!!!
私は心の中で盛大に叫んだ。
だ、だって!こんな佐藤さん知らない!
妙に色気があると言うか…こんな雰囲気醸し出すのっ?
小栗さんだって!この人どこがクールなのよってくらい、甘い顔した!!
なにこれなにこれ!!
目に毒だよ!!
独り者の私には、眩しすぎる!!
あぁ!ダメ!そんな顔!
佐藤さん!これ以上私のイメージを変えないで!
分かってた!小栗さんのことをすごく好きなのは、話を聞いて知ってたけど、それを目の前で見せられた、この衝撃と言ったら!!
ダメだ…
パレードより前の二人が気になってしまう。
そんな時、隣から視線を感じた気がした。
何気なく振り向くと…
山田さんとバチッと目が合った。
山田さんはニコッと笑って先に目線を外したけど…
笑う前…真面目な顔で私のこと見てた?ような…
いや、暗いからそんな気がしただけ?
でも、その眼差しが私のドキドキをさらに増加させた事は…間違いなかった。
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