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【番外編】秋吉菜々子の観察眼 …12
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(前の二人越しに)パレードを見て、お土産を買って、パークの外へ出た。
閉園まで少し時間があるけど、お互い車だし、少しでも混雑する前に帰ろうという事になった。
「山田さん、今日は本当にありがとうございました!」
佐藤さんが、キラキラな笑顔でそう言った。
うっ、普段私が目にする笑顔より眩しい…
佐藤さんと小栗さんの距離は、昼間の明るい時より少し近くなっている。
「どういたしまして。楽しんでくれたのなら何よりだよ」
山田さんが笑った。
「そりゃ!もう!…山田さんの言う通り、二人じゃこんなとこに遊びに来る機会ないし…すごく楽しかったです。良い思い出になりました」
「おー、またいつでも付き合うぜ!オグの面白い顔とか…色々見れるしなぁ…色々…ププッ!」
山田さんの言葉に、小栗さんがため息を吐いた。
「理由は何であれ、俺からも礼を言うよ。サンキュな」
「おーよ」
「アキちゃんも、今日はありがとう!」
「一日振り回して悪かったな。ありがとう」
佐藤さんと小栗さんが、今度は私にも声をかけてくれた。
「いいえ!私もかなり楽しみましたから!」
「帰り道、ヤマに気をつ「ちょーい!オグ⁈俺はいつでも紳士だよ!!」
小栗さんが何か言いかけたのを、山田さんが肩を組んで後ろを向かせて何かコソコソ文句みたいなのを言っている。
そんな和やかな感じで今日の感想を話しながら駐車場まで来て、佐藤さん達とは別れた。
寄り添いながら車へと向かう二人の後ろ姿を見送りながら、胸がキュンとするのを感じた。
良いなぁ…
「あきちゃん、今日は本当にありがとねー」
車に乗ってすぐ山田さんにそんな事を言われた。
「いえいえ!私の方こそ!お誘い頂いてありがとうございました!しかも、何から何まで奢って頂いて…」
結局、山田さんは私からお金を一銭も受け取ってくれなかった。
「いーって事よ!こんな楽しい事なら。はは!」
なんか…
今日は山田さんの事を色々意識してしまったので、こうやって改めて二人きりになると緊張してしまう。
別の事、考えよう…
「それにしても…あの二人って、本当に付き合ってるんですねぇ」
「え?」
「あ!いえ!変な意味じゃなくて…今までは話を聞いているだけだったし…それにあの二人ってドラマみたいって言うか、なんか想像しにくいカップルだったので…」
「あぁー。そうね。想像はしにくいよね。色々。…色々と。…ヒヒ」
「やっ!ちょっ!変な感じに言わないで下さい!」
「えっ?変な感じ?」
「もー!!」
山田さんは「ハハハ!」と豪快に笑いながらハンドルを操作する。
その横顔に少し見惚れてしまう。
ハッ…
いかんいかん。
山田さんは、私みたいなのを相手にするようなタイプじゃないんだから。
「それにしても、二人に喜んで貰えて本当に良かったです!あんな二人を見れたのも山田さんのおかげです」
「そう?ほら!俺、真面目だから色々考えるし、スッゴイ空気読むし、今日一日静かだったデショ?」
「ふふっ、確かに」
私のその返しに、山田さんが一瞬止まった。
「えっ⁈いやいや!今のはツッコむトコロなんだけどっ?どこが静かだよっ?とかさ!」
「えっ?そうですか?でも、山田さんって本当は真面目ですもんね?ふふっ」
これは今日の収穫。
山田さんはチャラチャラした人に見えるけど、頭の中ではちゃんと考えて行動してる人。
「…え?」
「だって、今日の山田さん、本当に空気呼んで、一歩下がってましたよね?…それに、ただワイワイしてるだけの人なら小栗さんが相手にしないと思いますし…」
私のその言葉に、山田さんは今度こそ固まってしまった。
あれ?変なこと言った?
ドキドキしながら、山田さんの様子を伺った。
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